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執筆者: jakameshi

インドネシア人の年配経営者から教えられた、インドネシア風スモールビジネス5つの流儀

2018/02/01

先週末、少し時間をかけてジャカルタでの生活や経験の棚卸をしていました。

今日はそんな振り返りの備忘です。

よく「インドネシアでのビジネスは難しい」といわれます。

商習慣や文化の違いからはじまり、突発的な規制の設置や変更、さらには賄賂の横行など、日本では考えられなかった環境の中で仕事を進めることになるので、まぁ予定通りに物事が進むことはありません

現地で仕事をしている日本人、特にご自身でビジネスを展開されている方々は口を揃えて「騙されたりして痛い目を見たのは二度や三度ではない」とも言います。

一方で「大変なときに助けてくれたのもインドネシア人」という言葉も聞きます。

この「助ける」という言葉にはメンター的なアドバイスから具体的な支援まで濃度は様々です。

筆者もこの数年、基本的には痛い目に会うことが多かったのですが、少しずつ増える出会いの中でインドネシア人の先輩経営者たちに教えられる機会もありました。

過去を振り返って棚卸する意味も込め、あらためて自分が肝に銘じておきたい「インドネシア人経営者達が語ってくれた仕事の話」を備忘として記載しました。

筆者にとっての「インドネシア版親父の小言的なもの」です(親父からもらった小言ですね)。

 

筆者周囲の経営者たち

筆者の周囲には主に2タイプのインドネシア人経営者がいます。

  1. IT領域で若い組織を率いる若手経営者たち
  2. 飲食や輸出入、卸売りなどトラディショナルな領域でスモールビジネスを展開する熟練経営者たち

今回の話は主に②の熟練経営者(年の瀬にして40~50歳手前くらい)の方々からの教えです。

①の経営者たちは「若くてパワーあふれると同時に戦略的な経営者」のイメージですが、②の経営者は「インドネシアの商売のポイントを知り尽くした、したたかな経営者」のイメージ。

ただ、このしたたかさが何よりもためになる。

年齢的に筆者と差があることもあり、彼らから教えられることの方が印象的だったのです。

スモールビジネスと書いたのは、彼らが大企業を経営しているわけではなく中小企業の経営者だからです。

中には複数のビジネスを投資家兼監督のような形で回している人がいたり、大企業の役員をやりながらサイドビジネスとして回している方もいます(コンプライアンス的な問題は置いておいて)。

人を雇うには雇っていますが、会社の経営者というよりもスモールビジネスのオーナー、と表現したほうがピンときますね。

大企業が展開する大きなビジネスにはあまり役立たないかもしれませんが、中小企業の方や起業家の方には多少参考になるかもしれません。

ちなみに「流儀」というのは某有名TV番組の雰囲気から取っただけで特に深い意味はありません。「鉄則」でも「哲学」でも「コツ」でも当てはまります。

 

①小さな仕事で相手を試す

試す

ことビジネスにおいて、インドネシア人の経営者はインドネシア人をあまり信頼していません。

100%信頼していないということではなく、パートナーとして信頼できる人間を見つけるのが難しい、と考えているということです。

日本人いうだけで相手を信頼しがちな我々とは真逆です。

彼らは誰よりもインドネシア人の性格を知っています。

時にはできないことをできると言われて大問題になったり、時にはノウハウやネットワークだけ持って逃げられたり、という状況が起きることを経験から理解しています。

そのような中で人を見極める具体的な方法論として「小さな取引から開始する」ことを徹底している方がいます。

彼は「インドネシアで一番大変なことは信頼できるパートナーを探すことであり、信頼できるかどうかは実際に仕事を進めてみないとわかるものではない」という哲学を持っています。

確かに仕事をしていると、細かいところに相手の性格が出ます。さらに追い込まれた状況になるとその人の本性が見えますよね。

日本人はどうしても経歴や所属を重視したり、少し日本語を話せると心を許してしまったりしがちです。

本当に相手も自分と仕事をする気があるのであれば、たしかに小さな仕事からでも一緒に始めてくれるし、相手の性格を知るには最もわかりやすい手段です。

異国で仕事をするのであれば肝に銘じておきたい言葉です。

 

②投資回収期間は短く設定する

投資回収ジャカルタで経営者と話していてびっくりしたことの一つに「投資回収期間の感覚が日本より短い」ということがありました。

すべての産業に当てはまるわけではないかもしれませんが、例えば飲食。

最近はトレンドの移り変わりが激しいため、飲食の投資回収期間設定が短くなってきたという話はききますが、日本だと原則論として4~5年で設定することが多いのではないでしょうか。

ジャカルタの飲食店オーナー達と話すと総じて短く、大きな会社でもない限りは2年というのが多いです。そして2年回収の試算ができない場合は無理にチャレンジせずに引っ込みます。

彼らの考え方をそのまま話すと「インドネシアは日々成長・変化しており、5年の計画なんて意味がない。2年で投資回収を終えて利益を生むくらいのスピードでいかないと魅力的なビジネスにはならないよ。」とのこと。

それまで筆者は「インドネシアでビジネスを軌道に乗せるためには数年間は耐えるべし」というような話を聞くことが多かったのですが、意外にもインドネシア人経営者はそうは考えていない場合もあるようです。

確かに日本では考えられないくらいのスピードで状況が変化していますので、一理ある。

今の日本人が30年前の日本にタイムスリップしても生活スタイルはそこまで変わらないかもしれませんが、インドネシアの30年前というのはきっと今とは別世界なのでしょう。

 

③コネクション無しのビジネスはしない

コネクション日本語で言うところの「顔が効く」というやつです。

インドネシアは汚職や癒着が多い中で成長してきた国ですから、コネクションで決まったり、解決してしまうところが非常に多いです。

少なくとも筆者が出会ったインドネシアの中小経営者の多くが、政府や地場ネットワークに顔が効く、もしくは顔が効く人をビジネスパートナーとして囲っており、その必要性を語ります。

これはファミリービジネスを展開する方も、事業を叩き上げている方でも変わらないです。

逆に言えば、権威に繋がるコネクションを起点にしてビジネスを展開してきた人が結果論として生き残っているのかもしれません。

でも、これが同時にインドネシアの成長を妨げてるのも事実なんですよね。

不健全な競争環境だと個人は努力を辞めますし、仮に優れた個人が出てきても海外や外資企業に流れちゃうんですよね。

頭では必要性を理解しつつも、インドネシアの未来のために変わっていってほしい部分でもあります。

 

④前金回収にこだわる

前金

日本の商習慣では「前払い」というのは少ないですが、インドネシアの場合はあらゆる場面で「前払い」に出会います。

信用するビジネスパートナー同士であれば例外もありますが、顧客相手の場合インドネシアの経営者はとにかく「前払い」にこだわります。

これは慣習として「残っている」ということではなく、インドネシア人同士の取引だと前払いにしておかないと払わないことが今でも往々にしてあるからです。

日本と同じような完全後払い形式にしてしまうと回収率が確実に下がり、利益を減らすことを彼らは知っています。

筆者もこの判断を間違えて痛い目を見ました。いや、今でも見ているというか……ホントに思い出したくない。

老練な現地経営者ほどここは徹底しています。

 

⑤大ばくちはしない

博打最後は流儀というよりもマインドですね。

インドネシア人は自国でのビジネスの難しさを知っているので、計算通りに物事が進むことはほぼ無い、と割り切っている感があります(根っからの楽天的な国民性が寄与しているのかもしれませんが)。

失敗前提で事業をするわけではありませんが、失敗する可能性は踏まえて計画をしています。

なので大ばくちも打ちません。

何か事業をやる場合は複数名の投資で進めることが多く、利幅が減ったとしてもリスクを分散させて致命傷を避けます。

また、この事業一本!という方は珍しく、複数のビジネスを掛け持ちしている方が多いです。

政府の体制や方針一つで事業が突然どうしようもなくなること、を肌で知っているのかもしれません。

 

最後に

こうして並べてみるとまさに親父の小言。

文字にすると「ふーん」なんですが、実践しきれていないことが多々。

今回の話は現地の年長者から学んだ話ですが、若手のIT系経営者となるとまた「ぐるっ」と性格もお話も変わります。

IT業界にはインドネシアの優秀な層が集まっています。

彼らについても別の機会があれば触れてみます。

 

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