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執筆者: jakameshi

【2018年最新】これでスッキリ!プロが教えるインドネシアのビザ事情(トラブル編)

インドネシアのビザについて、労務関係のコンサルティングを主事業とするパーソルケリーコンサルティングの森さんにお話を伺っています。

前半についてはこちらをご参照ください。

▶【2018年最新】これでスッキリ!プロが教えるインドネシアのビザ事情(基本編)

 

後半の今回はずばり「トラブル」をテーマとして色々と教えていただきます。

周囲でよく聞くビザトラブル…。いったいどのようなトラブルがあるのか?どうすれば避けられるのか?などを専門家の知見から聞き出します。

イミグレで横行する裏金の真実

ー実際に起こり得るトラブルや注意すべき点などについてお伺いできればと思います。まずはですね…、トラブルになる、とはどういう状況のことなのでしょうか?

(森)まず、ビザのトラブルを一言で説明すると「ビザに不備があり、不備が発覚して違法滞在、違法就労の罰則が下される状況」のことを指します。イミグレの担当官たちは定期的な「査察」を行っており、査察時に不備が発覚すればその場でパスポートを没収。後日イミグレへの出頭命令が出て出頭をしなければなりません。

 

ー呼び出しを食らうわけですね。呼び出された後は何が起きるのでしょうか?

(森)これはケースバイケースなのですが、軽い場合は「指導」で終わることもあります。逆に重い場合…たとえば数年違法滞在していたなど違法性が高い場合は「ITAS(滞在許可証)の取り消し」や「強制送還」という処罰の場合もあります。

 

ーよく「担当官の小遣い稼ぎ」なんて言葉を聞きますが、実際の所はどんな塩梅なのでしょうか?

(森)よくあります。例えば、実際に不備があって罰則に引っかかる場合はもちろん、内容が軽微な場合でも重たいように見せかけて裏金を求めてくるケースはあります。最悪な場合だと違法性が無いのに難癖をつけてくる担当官もいます。

 

ーそこはやはりインドネシア。ちなみにおいくらルピアくらい求められるものでしょうか?書いていいんですかね?これ(笑)

(森)あくまで一般的な話としてですが、だいたい初期提示で100juta(1億ルピア)程度を提示してくることが多いようです。その後、交渉が入り30~40juta(3~4千万ルピア)で着地します。もちろん領収証は出るはずもなく、当日、もしくは後日に現金手渡しで直接支払うことになります。

 

ー私の周囲でも知人経由で(私の)間接的な知り合いがやられた、という話が入ってくることがありますね。

(森)実際に多々発生しています。現地担当者のITASが失効するとインドネシアには滞在できず仕事もできません。また、再申請で最低でも数カ月は事業が止まります。このような背景もあり、正面から対応するのではなくお金で解決してしまう企業が多いのも事実です。

ただ、このやり方はインドネシアの警察や汚職撲滅委員会に発覚すると「逮捕」となるリスクを含んでいることは忘れてはならないと思います。

 

知らない内にあなたも査察官に張られている?

ーいやー、恐ろしい話です。普段生活していると空港くらいでしかイミグレを見かけることは無いのですが、いったいいつどのようなタイミングで出くわすものなのでしょうか?

(森)イミグレが積極的に違反者を探しているんですよ。彼らは定期的な査察を行っており、外国人が多いエリアや滞在場所、会社などを見回っています。エリアだと特にブロックMはターゲットになりやすいです。

会社であれば多くの外国人技術者がいる可能性の高い製造会社や建築現場を狙います。自ずとブカシやカラワンがターゲットになりがちです。逆に中央ジャカルタの場合は外国人の数が集中している会社が少ないのでターゲットにはなりにくいです。

 

ー一気に摘発できるよう、イミグレも工数対効果の高い場所を狙っているんですね。

(森)そうですね。他にもよく「ホテル」が狙われるという話がありますが、実はホテルはそこまで狙われません。ホテルには短期滞在者しかいないため大きな話にしにくいからです。彼らは長期滞在者を狙いたいのです。

 

ーデキる営業マンみたいですね。短期ではなく長期で予算も大きく狙う、みたいな。長期滞在者を狙うとなると…

(森)長期滞在者を狙うとなるとアパートメントです。査察では夕方5時~翌朝3時頃までイミグレの査察官が2~30名体制でアパートの受付や入口、エレベーター周辺に張付きます。そして外国人が部屋へ戻るタイミングで事情聴取を開始。たとえ正式な手続きで就労ビザを得ていたとしても、しかるべき書式を提示できないと違法就労や違法滞在とみなされる可能性が高いです。

 

ーちなみに、しかるべき書式とは何でしょうか?

(森)多少グレーな部分もあるのですが、原則論で述べますね。まず、就労者や帯同者に関しては、ITAS、IMTA、パスポート、以上3点のカラーコピーが必要です。出張者や旅行者についてはパスポートの原本が必要です。コピーではだめです。必ず原本を所持していなければなりません。

 

見落としがちな落とし穴

ー貴重なお話をいただけました。まぁ我々は人様の国で働いているわけですので、ルールに違反する方が悪いっちゃ悪い話ですからね。次に、もしあれば聞きたいのですが、「見落としがちなルールの落とし穴」みたいなものはありますか?うわー、知ってれば避けられたのに…的なやつです。

(森)たくさんありますね。まず最も見落としがちなのが「住所変更」のケースです。

 

住所変更の落とし穴

ー住所変更ですか。それはどういうことなのでしょうか?

(森)原則としてITASに登録してある情報はすべてが現状と一致していなければなりません。たとえば正式に滞りなく取得したITASでも、引っ越し後に更新手続きをしないで新居に査察が入るとアウトです。登録情報と住んでいる場所が違うじゃないか、という話になるのです。

よく、新任者が来た際に慣れるまでホテルやコス住まい、土地勘がついてからアパートメントにお引越し、というパターンがあるかと思います。その場合でも就業ビザの申請は最初から進めているので最初のホテルやコスをITASに登録しますね。3ヶ月ほどしてお引越しをし、そのまま内容変更しないで放置するとアウトです。どんな理由であれ住所が変わった場合は必ず2週間以内に変更手続きをしなければなりません。

 

ーいやー手厳しいですね。

(森)ちなみに、よく同じアパートメント内で部屋を変える場合があると思いますが、このケースも申請していなければアウトです。

 

ーえ…本当に?

(森)はい、もちろん本当です。ここは盲点になりがちです。

 

名刺タイトルとの不一致

(森)他にも盲点になりがちなのは名刺タイトルです。

 

ー厳しいなぁ、と言いたいですが原則的にはダメそうですね。

(森)はい。就労ビザを取得するためにはよくMarketing Managerなど専門性の高いタイトルが使われます。でも、実際は秘書的な業務で名刺はSecretaryとなっている、など。このケースもアウトです。

 

ーそれはありそうな話ですね…。

 

エンジニアの緊急対応と内部密告

ー大変勉強になりました。他にも何かありますか?

(森)そうですね、他に多いのは緊急時の内部密告ケースです。例えば、精密機械を扱う企業があったとします。顧客への緊急対応でどうしでも日本からの技術者が必要になりました。インドネシアへ来て修理の対応をします。まず、この場合は「出張」ではなく「就労」の扱いとなります。

 

ーでも急に呼ばれてしまったらそんな手続きしてられなくないですか?お金も時間もかかるし。

(森)はい。滞在も数日ですし。そのため到着ビザで対応してしまう企業も多いです。ところが、こういうケースで出張手配をしたインドネシア人スタッフがイミグレに密告してしまうことがあります。緊急対応で修理するために現場へ向かうと、すでに現場でイミグレが「フルネーム」が入った完璧な書類を持って待ち受けているという…

 

ーまさに緊急事態。むしろお客さんよりも緊急ですよそれ。

(森)そうですね。ですので原則としてはやはり正しい手続きを取っておくことが一番の安全策となります。万が一、それがどうしても無理な場合はせめて出張手配にインドネシア人を巻き込まない、ということができるかもしれません。が、当然これは安全を保障するものではありません。

 

帯同ビザで別行動

ー盛り上がって参りました(笑)、こんな話は私だけだと絶対書けなかったです。お仕事関連の話題が続いたのですが、プライベート寄りで何か知っておいた方が良い話はありますか?

(森)ご家族を想定してお話をすると、帰任のタイミングでやや要注意なことがあります。たまに、旦那様の帰任が決まった際に先に旦那様だけ日本へ本帰国し、奥様とお子様はバリで少し遊んでから本帰国する、というケースを聞きます。

 

ーえ?それの何が危ないんですか?

(森)帯同ビザの原理原則で「帯同者は就労者の行動に沿わねばならない」というものがあるんです。主従の関係でいくと、就労者は主で帯同者は従です。

ですので、先ほどのパターンだと帯同者である奥様は就労者の旦那様が帰国したタイミング、もしくは旦那様の前に帰国しなければなりません。もしバリで遊びたい場合は一度出国し、「観光客」として再入国する必要があります。

 

ーまったく知りませんでした。ご家族で住んでいる方はたしかに見落としてしまいそうですね。皆さん気を付けましょう!

 

最後に

ーいやぁそれにしても本当に貴重なお話をありがとうございました。一言でビザと言っても気を付けるべき点がたくさんありました。

(森)そうですね。ビザ関係は年々シビアになっていく印象を受けています。そのためにも正しい見解を持って正しい手続きで進めておくことが一番重要です。必要に応じて当社のような専門企業にご相談をいただければ全力でサポートさせていただきます。

また、当社では企業様向けに労務コンサルサービスを提供しています。たとえば違法性が無いのに会社に乗り込まれて難癖をつけられた、というような場合に専門弁護士が電話でサポートすることもできます。法人様の場合は万全を期してこのようなサービスの利用も検討されてもよろしいかと思います。

 

 

ーまさか…ということが起こるのがインドネシアですからね。いやーあらためまして、本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

取材協力

会社名 PT. Intelligence HR Solutions Indonesia
住所 Mayapada Tower I, 6th Floor, Jl. Jend. Sudirman Kav.28, Jakarta 12920, INDONESIA
電話 +62-21-521-1873
Eメール info@persolid.com
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