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執筆者: jakameshi

【2018年最新】これでスッキリ!プロが教えるインドネシアのビザ事情(基本編)

2018/03/07

インドネシアですでに働く方ならばすべからく感じているかと思いますが、インドネシアのビザというのは複雑で非常に面倒なものです。

筆者も今でこそビザのシステムについて「なんとなく」わかってはきたものの、インドネシアに来る前はさっぱりわかりませんでした。

「必要な情報を網羅しており、初心者でもわかるようにインドネシアのビザ情報をまとめたい」とずっと感じておりましたが、筆者は素人。一人では無理です。

そこで、プロの力を借りて「インドネシアのビザ事情(種類から諸注意まで)」をまとめてみました。素人目線を交えながら、「痒い所に手が届く」インドネシアのビザ事情を全2回に渡りお伝えします。

お話を聞いた人

今回ご相談したのは筆者が懇意にしているパーソルケリー コンサルティングさん。特にビザに詳しい方を…ということで、この道10年のベテラン、森さん(以下、森)にインタビューさせていただきました。

【プロフィール】
パーソルケリー コンサルティング 人事労務コンサルタント。
2003年にインドネシアに移住。東ジャワ州マランで約4年間の就学後、ジャカルタで10年以上、人事労務を専門とした事業に携わる。
2017年8月時点で人事労務コンサルティングの会員企業数は100社を超え、就業規則の作成、労使紛争、解雇、雇用問題の解決、人事制度構築を専門とする。山口県下関市出身。

 

インドネシアのビザ取得の難しさ

ー今回はご協力いただきありがとうございます。いつかビザ関係の記事というのは書きたかったのですが、如何せん素人の生半可な知識で書くわけにもいかず…書けなかったのです。今日は思う存分お知恵を拝借したいと思っております。

(森)こちらこそよろしくお願いします。私が持っている知見の範囲でよろしければ何でもお答えいたします。

 

ーありがとうございます。早速ですが、よく「インドネシアのビザは難しい」と言われますよね?私も複雑で面倒だなぁとは思いつつも何が難しいのか明文化できていません。専門家の視点から見て、いったいインドネシアのビザの何が難しいポイントなのでしょうか?

(森)そうですね、確かにインドネシアでは就労ビザ取得が東南アジアでも有数に難しいとされています。

主に難しいとされる理由は「学歴」、「職歴」、「年齢」の3点で縛りがあるためです。

また、インドネシアのビザに関する規定は頻繁に改訂が発生しており、細かな現場担当官レベルでの判断、解釈の違いによる情報の錯綜も発生致します。これもインドネシアのビザ手続き全般を難しくしている要因です。

 

インドネシアのビザの種類

ー「解釈の違い」はまさにインドネシアあるあるですね(笑)。次にインドネシアにおけるビザの全体像を教えていただけますか?どのような種類のビザがあるのでしょうか?

(森)口頭だけでは難しいので表をお持ちしました。この一覧表の通り、インドネシアでは主に観光客用の「観光目的」のビザ出張者向けの「会議目的」のビザ就労者向けの「就労目的」のビザ、その他その就労者に帯同する家族向けの「家族帯同目的」のビザなどが存在します。ひとえにビザといっても、その目的によって、異なるとお考えください。

<日系企業が利用する代表的なビザ一覧>

観光ビザ

ーいやこれ、ほんと種類が多くて面倒ですよね(笑)。一つずつ解説いただきたいのですが、まずは入りやすいところで「観光ビザ」について教えていただけますか?

(森)インドネシアにはバリ島、ロンボック島、古都ジョグジャカルタなど多くの観光地が存在します。こういった観光を目的とした場合は、最長30日間を限度に、無料で、かつ事前手続きを経ることなく入国可能な「ビザ免除(Visa Exemption)」を利用できます。

国際空港の多くで利用できますが、利用には注意が必要です。

バリ島など観光地の空港であればまだしも、観光名所の少ない首都ジャカルタへ当ビザで入国しようとした際、空港内の入国管理局(以降、“イミグレ”と表記)担当官の中には、「ジャカルタには観光地は無い。ビジネスで来たのではないか?」と怪しむ人もおり、到着ビザの支払いを命じられた、という事例は少なくありません。特にスーツ姿で通過しようとした場合は呼び止められます。

これは、当ビザが無料であることから、外国人出張者が当ビザを利用して仕事目的であるにも関わらず出入国している事実もあり、監視の目が厳しくなっていることが背景にあります。なお、当ビザで入国した場合、パスポートに“Visa Exemption(ビザ免除)”というスタンプが押印されます。

 

ーインドネシア的には出張の場合は出張ビザで来いよ、ということですね。スーツで観光ビザは自殺行為ですが、そうじゃなくとも確かに空港の入国審査で揉めている外国人、最近よく見ます(笑)。不慣れな外国で、長距離移動の後に揉めるリスクを考えると…どちらが良いかはこれを読んでいるあなた次第…。

 

出張者向けビザ

ーあなた次第、とか言っていきなり話が終わりそうになりましたが、話はここからです。当サイトは出張準備の情報を求めて訪れる方も多いのです。一番関わる人が多いとも言える、出張者向けビザについて教えてください。

(森)終わらないでください(笑)。了解しました。ここからが本番ですね。

まず、出張には「子会社(現地法人/駐在事務所)設立前の情報収集やコンサルタントとの打ち合わせ」や「すでに存在する子会社との打ち合わせ」など様々な場面が考えられます。

この時に該当するビザは、シングルビザ(211)、マルチプルビザ(212)、到着ビザです。数字は“ビザインデックス”というビザ番号です。

それぞれ期間や使える範囲が異なるので個別に解説しますね。

 

ーぜひお願いします。

(森)まず、シングルビザ(211)は、一度の滞在期間は最長60日間で、商談/会議を目的として、1回のみの訪問となります。そのためひとたびインドネシア国外へ出国すると、自動的にビザは失効する性質を持ちます。頻繁にインドネシアを行き来する方には向かないビザのため、利用頻度は少ないです。

なお、ビザの発行元は在外公館(在東京、大阪、シンガポールなどのインドネシア大使/総領事館)で、事前に約2~3週間の手続きを経て、取得できます。

 

ー初めてのインドネシア視察など、今後もインドネシアを訪れるかどうかわからない用途の場合はシングルビザということですね。ちなみに、このビザは「日本からの商品を国際営業していて、クロージングのために訪れる」場合でも使えるのでしょうか?

(森)問題なく使えます。ただあくまで、その商談が会議室で行われる場合です。

 

ーそうなんですね。次にマルチプルビザはどういうものでしょうか?私も初期はお世話になったビザです。

(森)マルチプルビザ(212)は、一度の滞在期間は最長60日間で、商談/会議を目的として、12ヶ月の間に何度でもインドネシアへ行き来することができます。そのため、インドネシアへ頻繁に来られる多くの外国人が利用するビザとなっています。

なお、ビザの発行元は在外公館(在東京、大阪、シンガポールなどのインドネシア大使/総領事館)で、シングルビザと同じく事前に約2~3週間の手続きを経て、取得できます。

 

ー1年に何度も訪れるならシングルではなくマルチプルで、ということですね。次に到着ビザ(213)とはどういうものでしょうか?延長すれば60日滞在できて会議もOKということで、一見するとシングルビザ(211)と変わらないように見えるのですが…

(森)まず概要をご説明しますね。到着ビザ(213)は、Visa on Arrivalの略語である “VOA” と称されることも多く、インドネシア入国時の空港内にある“VOAカウンター”で35米ドルを支払っての入国となります。そのため、「ビザを空港で買う」という認識を持たれている方も多いでしょう。

先ほど述べたシングル・マルチプルビザと異なって、事前の手続きを経て大使館へ出向く面倒もないことから、最も簡易に取得ができる商談/会議を目的としたビザとなります。それゆえ、出張者の中には、この到着ビザを頻繁に利用し入国される方も多いです。

一方で、その利用頻度の多さゆえに、現地の入国管理局からは「就労しているのではないか」と目を付けられてしまうことも多いと言えます。

また、このビザの発行元はイミグレの担当官となり、担当官によって対応が異なったり、当ビザを利用しての入国頻度が多い者に対し事情聴取を目的に別室に連れ込んで法外な料金をせしめたりするケースが相次いでいます。それを受けて日本大使館は、2017年より当ビザ利用の注意喚起を行っています。

発行元が在外公館(外務省管轄)の場合、法務人権省管轄のイミグレは、他の機関が発行したビザに対し、異議を唱える権限がないのが実情で、そのため、シングル・マルチプルビザの取得が強く勧められているのです。

 

ー事前手続きもいらないので取得は簡単だけど、頻繁に使われるからこそのリスクもあるということですね。発行元の違いによって権限が異なるとかまでは知りませんでした。さすが専門家ですね。

 

 

就労ビザ

ーさてさて、次はいよいよ「取得が難しい」と先ほど上がった就労ビザに行きましょう。超基本的な質問からですが、そもそも就労ビザとは何のためのものでしょうか?

(森)就労ビザ(312)とはインドネシアで就労する外国人を想定し、長期滞在及び就労による給与取得を許可するものです。いわゆる「インドネシアで働く」場合、外国人はすべからく就労ビザの取得が義務付けられています。

仮に虫食いのように出入りしており長期滞在の必要性が無い場合でも、インドネシアで就労し給与を得る場合は就労ビザの取得が必要です。

 

ーうーん、色々と違反する可能性がありそうな話(笑)。万が一違反するとどうなるんだ?という話は後にまとめて伺うとして、インドネシアにおける就労ビザの概要について先に教えていただけますか?

 

(森)続けますね。就労ビザについてはまず非役員(ゼネラルマネジャー、マネジャー、アドバイザーなど)なのか、または役員(取締役/監査役)なのか、によって条件が異なります。

まず、非役員(ゼネラルマネジャー、マネジャー、アドバイザーなど)の場合です。

非役員の場合、次のいずれか1つでも当てはまらない場合は自動的に6ヵ月間までの就労ビザとなります。

【発給条件3か条】

  1. 適した学歴を有すること ※4年制の大学卒業資格を持っていること
  2. 適した就労経験を有すること ※5年以上の就労経験を持っていること
  3. 適した年齢であること ※50代となると抵触してしまう恐れがあります

上記1、2において、大卒で5年以上の経験者となると、最低で28歳以上となります。

これは、「外国人就労者はインドネシア労働者への技術移転を行う」ことが義務付けられており「それ相応の学力と経験」そして「年齢」で精査されているからです。

非役員においてはこれらの条件設定があることから、大卒、就労5年以上を満たさない入社したての若手社員を駐在員として送り出したい場合、上記②に抵触し1年間ではなく6ヵ月間の就労ビザとなることが発生しています。

また、経験豊富な技術者を雇用する際、50歳を超えていたことから、同様に6ヵ月間の就労ビザで再申請することとなった、などもあります。

次に、役員(取締役/監査役)の場合です。役員の場合は特に条件なく(学歴、職歴、年齢に左右されず)1年間の就労ビザが発給されます。

 

ーちなみにですが、発給期間が異なること以外に何か違いはありますか?6ヶ月だと更新の頻度が増えて大変だなぁという気がしますが。

(森)そこなんですよ。実は「更新頻度」以外に「更新の手間」が大きく異なります。

1年間の就労ビザの場合、ビザの延長が可能となります(最大4回まで、計5年間の就労)。この延長手続きに際しては、5年間の間は国外に出国することなく延長が可能です。

一方、6ヵ月間までの就労ビザの場合ビザの延長は不可です。つまり、6ヵ月を超えて就労する場合は、一旦ビザを解約(EPO)した上で“再取得”する必要があります。そのため再取得の都度、国外の在外公館へ出向いてビザを取得する必要があります。

 

ーなんと!それは全然面倒臭さが違いますね。頻度増に加えて毎回シンガポール行って再取得は…住んでいるし経験しているからわかりますが正直手間ですね。まぁ個人でコントロールできることではないので会社の状況次第の話ですが。

(森)そうですね。規定は変えられませんが、事前に会社側や個人がビザ環境を把握しておくことは重要だと思います。

取得方法にも触れておきますね。

就労ビザの場合は出張ビザと比べて手続きは長く、複雑になります。細かい話はここでは割愛しますが、大きく分けると次の7つの流れに沿います。

  1. 外国人雇用報告書RPTKA
  2. 就労許可IMTA
  3. 外国人雇用補償金DKP-TKA(旧DPKK)支払い
  4. ビザ発給許可証VTT/TELEX
  5. 在外公館にてビザ発給
  6. インドネシア入国
  7. 滞在許可ITAS

上記1~6まで、要するに手続き開始後、入国までに約2ヶ月間かかるとお考えください。また、事前資料の準備を含めると、3ヵ月前から就労ビザについては対応を取る必要があります。

 

ー就労ビザの手続きは本当に大変ですよね。ちなみに、あえて専門家の方に聞いてみたかったのですが、就労ビザの手続きって専門家に頼まなくてもできるものですか?たとえば、現地法人で雇用した管理スタッフにお願する、とか。

(森)できるかできないかで言えばできなくはありません、が、推奨はできません。就労ビザについてはビザ手続きに不備があってはいけません。万が一不備があり発覚した場合は『違法就労』、『違法滞在』とみなされます。そのため対応に長けているビザ代行会社に委託をされることを強く勧めます。

ほぼすべての手続きにおいてインドネシア語の書類作成が必要で、さらに不明瞭な行政対応に翻弄されます。

自前で行う場合、たとえインドネシア人スタッフが行うにしても、通常2ヵ月で「入国」まで執り行えるところが半年かかったり…というケースも出ています。

ビザ手続きにおいては、発展途上という事もあり、オンライン登録はまだ少なく、数十点ある資料のほとんどを書類で作成・登録しなければならないのも手間がかかる要因です。

 

ーいやはや、納得です。聞くだけ聞いたものの、私の周りでもたしかに「自分でやった」という会社はほとんど知りません。面倒な手続きはプロに任せて、本業に勤しむのが事業成功の秘訣ですね。

 

家族帯同ビザ

ー最後に、帯同される家族の方々向けに「帯同ビザ」についてご説明いただけますか?私は独身で来たのでまったくこのビザの知識がなく、個人的にも聞いておきたいです。

(森)はい。まず対象者についてですが、家族帯同ビザ(317)とは前述の就労ビザを取得し就労する外国人と婚姻関係にある家族に対し発給されます。婚姻関係の証明として、戸籍謄本(有効期限6ヵ月間)などが求められますので、事前に準備しておく必要があります。

また、配偶者である外国人就労者の就労期間と連動し、滞在期間が定まります。例えば、就労者が6ヵ月間のビザを取得した場合は配偶者・家族も自動的に6ヵ月間となります。

 

ー細かい質問ですが、配偶者の就労期間と帯同期間が連動する、ということは就労ビザとタイミングを併せて申請しないとダメ、ということですか? 例えば「夫が先に1年の就労ビザで入っているが、途中の3ヶ月目から妻が帯同したい場合」などはどうなるのでしょう?

(森)併せて申請する必要はなく、いつのタイミングでも構いません。ただし、就労者のビザと連動しますので、途中の3ヶ月目から妻が帯同したい場合は、残る10カ月間の滞在期限となりますね。

 

ーそうなんですね。別の質問ですが帯同者もインドネシアで働きたい場合はどうすれば良いのでしょうか?慣れてきたから自分も働きたい!となった場合です。

(森)結論からお伝えしますと就労ビザを個人として取得しなければなりません。インドネシアでは、家族帯同ビザ(317)を取得して帯同されていた場合、一度それを解約した上で、採用する側の雇用主がスポンサーとなって就労ビザ(312)を取得しなければなりません。

そのため、旦那様/奥様の就労先へ許可を得なければならず、その手続きの煩雑さや、日本本社が認めない、というケースも起き得ることから、結果として、就労をしないという配偶者が多いのが実情です。

就労をご希望の場合は、先ず、就労ビザのスポンサーとなられている配偶者の会社を通じて、就労可否の確認をされることが先決です。

 

これからビザを取得される人たちへ

ー一通りビザの種類や諸注意を教えていただきました。最後に全体を通じてこれからインドネシアへ来られる方々へ向けたアドバイスを頂けますか?ビザ周りに関してです。

(森)インドネシアは総じて、外資企業、並びに外国人のビジネス参入や入国に厳しい国のひとつになりつつあります。その背景に、約350年もの間、外国による支配を受けた歴史が関係しているとも言われ、年々、その規制の強まりを感じています。

政治家が変わる都度、方針も手続き内容も変わりますが、一環として共通するのは、「外国人は、インドネシア労働者への技術移転を行うために就労し、滞在する」という点です。

要するに、それに足りない外国人には発給内容を限定化するなどの措置を取り、より質の高い技術移転が行われることが求められています。

また、それを叶えるために、あえて明文化した規定や法律は作らず、関連する省庁の担当官たちが柔軟に対応できるよう、その都度、判断や方針を変えてきています。

柔軟性の反面、違法とみなされた場合は各種許認可のはく奪、数百万円に上る罰金、収監(禁固刑)、その他、強制送還といった厳しい措置が取られます。知らないでは済まされない問題であると認識する必要があります。正しい知識を持ち、正しい手続きを経て、インドネシアでのビジネス活動にご専念下さい。

 

ー確かにビザ関連のトラブルは増えている印象がありますね。きちんとした手続きで安心できる環境で働く、というのは大切だと私も感じます。いやー、それにしてもさすがプロです。豊富な知見をありがとうございます。そして…さすがプロ!ということでなかなか表に出ない「トラブル!」もさぞご存じでは?

 

やはりそこが知りたいのです。

 

ということで続編「これでスッキリ!プロが教えるインドネシアのビザ事情(トラブル編)」に続きます!

▶これでスッキリ!プロが教えるインドネシアのビザ事情(トラブル編)

 

取材協力

会社名 PT. Intelligence HR Solutions Indonesia
住所 Mayapada Tower I, 6th Floor, Jl. Jend. Sudirman Kav.28, Jakarta 12920, INDONESIA
電話 +62-21-521-1873
Eメール info@persolid.com
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パーソルさんはビザ含む労務コンサルティングと併せて人材紹介も展開されています。ご入用の方はぜひご相談ください。

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