海外で生活していると「日本にある日本円」を「現地通貨」で引き出したいことが多々あります。
インドネシアに住む筆者の場合はすばり「ルピア」ですね。
「国際キャッシュカード」や「クレジットカードによるキャッシング」など、選択肢はいろいろありますが「どれが一番楽でお得なんだろうか?」と思いませんか?
海外現地(筆者の場合はインドネシア)に銀行口座がある方は、「トランスファーワイズ(TransferWise)」というサービスを使うと日本円を外貨でお得に海外送金できます。
参考 トランスファーワイズ
しかも送金速度もかなり早い。
筆者はこれまで3回使いましたが、初回以外は「即日」で届きました。銀行経由でチンタラやる必要ありません。
数回使い「信頼できると確信を得た」ので満を持して紹介します。
この記事では海外送金の決定版、トランスファーワイズについてご紹介します。
本記事の目次
海外送金手数料が安くて便利なトランスファーワイズ(TransferWise)について
トランスファーワイズは2011年に創業されロンドンに本社を置く企業です。
創業以来ものすごい勢いで成長しており、本記事執筆時点(2019年1月)で71か国にて利用可能です。
トランスファーワイズのすごさを一言で表すと「国際送金なのに国をまたがない仕組みを作り上げた、だから早くてお得」という部分です。
国際送金したい人達をマッチングさせることで、国をまたがなくても国際送金と同じことを実現させました。
「ちょっと何言ってるかわからない…」と思うので補足します。
例えば日本からインドネシアへ1万円を送金し、1.2jutaIDR(=1万円とする)で受け取りたい「Aさん」がいるとします。
一方でインドネシアから日本へ1.2juta IDRを送金し、1万円(=1.2jutaIDRとする)で受け取りたい「Bさん」がいるとします。
この2人をマッチングさせると海外へ送金しなくても2人の送金ニーズは満たすことができます。
海外送金をしなくても、国内送金だけでAさんは1.2jutaIDRを、Bさんは1万円をゲットできます。
AさんとBさんの間にはトランスファーワイズが立ち、マッチングや振り込みの手間やリスクを負担しています。
図にするとこんな感じです。

これだとお金は国をまたがない。さらに銀行をすっ飛ばしながら国際送金完了です。
これ、最初聞いた時には「天才か…」と正直思いましたよね。さらにそれを実現してしまう創業者のパワーも半端ないです。
いやいや、これぞイノベーションってやつですね。
トランスファーワイズ(TransferWise)を使うメリット
この「国内送金」だけで、且つ「銀行を通さず」に「国際送金」を実現することで様々なメリットが生まれます。
主なメリットは下記3つです。
- 送金手数料を抑えられる
- 手続きが簡単
- 着金が早い
メリット① 送金手数料を抑えられる

銀行経由で国際送金したことがある人ならわかるかと思いますが、銀行の国際送金手数料は高いですよね。
送金銀行に払う手数料に加え、受取側の銀行に払う手数料も発生。
さらに為替手数料(←見えない手数料)も発生しています。
一方トランスファーワイズの場合はトランスファーワイズに支払う手数料(両替額の0.75% + ¥ 180円)のみ(※)。
※手数料は通貨によって変動します。IDRは0.75%。
銀行だと10万円分の送金でも何千円と手数料が発生しますが、トランスファーワイズの場合は1000円かかりません(923円)。
またトランスファーワイズは透明性が高く、この辺りの計算式はすべて送金前に明示してくれます。
メリット② 手続きが簡単

筆者はトランスファーワイズの一番のメリットはここだと思っています。
最初の手続きは少し時間がかかりますが、初回登録を終えてしまえばその後の送金手続きがスーパー楽です。
どれくらい楽かと言うと、トイレで用を済ませながらアプリで完結できちゃうくらい楽です。
当たり前ですがインドネシアから出て日本で手続きする必要もありません。
送金手続きはものすごいシンプルで、日本円を送る際はこんな感じです。
- トランスファーワイズのサイトかアプリで送金口座、受取口座、金額を設定
- 指定されるトランスファーワイズの日本口座に必要額を振り込む(これはオンラインバンキングで)
- あとは待つだけ
銀行経由の送金と比べると天と地ほどの差があります。
メリット③ 着金が早い

簡単なだけではなくスピードも速いです。
今のところ「日本での送金」から「インドネシアでの受け取り」にかかる時間はたったの数時間、つまり「即日」です。
銀行経由だと数日かかり、遅い場合は週をまたいで…となりますが、こちらも天と地ほどの差がありますね。
ただし「即日」というのはトランスファーワイズが保証しているものではありません。たまたま「インドネシアルピアの場合利用者が少ないから早い」のかもしれません。
まぁでも利用者の声を見るとそれでも1~2日で着金しているので銀行よりは圧倒的に早いと言えます。
参考 トランスファーワイズ
トランスファーワイズ(TransferWise)を使うデメリット
物事には常に裏と表があります。メリットがあれば必ずデメリットはある。
実際に使ってみて感じたトランスファーワイズの「デメリット」も伝えておきます。
- 10,000円以下だと割高になる
- 送金できる金額に上限がある
- 最初の手続きはちょっと面倒
デメリット① 10,000円以下だと割高になる

筆者はもともとキャッシング派でした。
そこで最初に比較検証をしていたのですが、10,000円以下の場合は「キャッシング」した方が安上がりです。
「銀行よりお得なのはわかったが、キャッシングより手数料はお得なのか?」と疑問を感じ、過去に実験してみたデータがこちらです。
送金額
(円) |
うち手数料
(円) |
送金原資
(円) |
受取額
(IDR) |
実質手数料
利率 |
適応レート
(1円で買えるIDR) |
||
トランスファーワイズ | ¥7,650 | ¥236 | ¥7,414 | IDR 1,000,000 | 3.18% | 134.8799568 | |
キャッシング | ¥7,599 | ¥171 | ¥7,428 | IDR 1,000,000 | 2.30% | 134.63 |
ポイントだけ抜き出すと、1,000,000 IDRの日本円を日本口座から移動するために必要な日本円は、
- トランスファーワイズ→7,650円
- キャッシング→7,599円
となり「キャッシングの方が51円お得」でした(小さい差ですが)。
為替レートはほぼ変わらないのですが、手数料利率でキャッシングに軍配。
でも、この現象には明確な理由があります。それは「固定手数料の有無」です。
キャッシングの場合は純然たる「従量課金」です。一方トランスファーワイズの場合は「固定費(2019年1月時点で180円)+従量課金」です。
なので少額の場合はキャッシングの方が安上がりになります。
一方、数十万円レベルの金額だと逆にトランスファーワイズの方が圧倒的にお得です。
筆者は2018年にインドネシアで結婚式を上がるために少し大きな日本円を送金しました。
一度70万円をトランスファーワイズで一度に送った際、手数料をキャッシングの仕組みでシミュレーション&比較してみました。
結果、なんと1万円強トランスファーワイズの方がお得でした。
送金額
(円) |
うち手数料
(円) |
送金原資
(円) |
受取額
(IDR) |
実質手数料
利率 |
適応レート
(1円で買えるIDR) |
||
トランスファーワイズ | ¥700,000 | ¥5,390 | ¥694,610 | IDR 93,232,549 | 0.78% | 134.222872 | |
キャッシング(シミュレーション) | ¥711,934 | ¥16,006 | ¥695,928 | IDR 93,232,549 | 2.30% | 133.968656 |
同額のルピア(93juta)を手にするために必要な日本円は、
- トランスファーワイズ→70万円
- キャッシング→71万1934円
と約1.2万円の差がありました。
筆者は数学が得意ではないのですが、その他計算したところ「どうやら1万円強くらいが分岐点」とわかりました 。
今の話を図にするとこんなイメージです。

トランスファーワイズの手数料設定は基本的に低いのですが、固定手数料がわずかながらある。
そのため少額の場合は固定手数料が目立ってしまうんですね。
結論として、1万円程度を細かく必要としている人はキャッシングをした方が楽だしお得です。
一方生活費送金などまとまったお金を送る場合はトランスファーワイズの方が圧倒的にお得です。
デメリット② 送金できる金額に上限がある

トランスファーワイズで一度に送金できる上限は日本円にして100万円です(2019年1月時点)。
これはもう、金融法が絡む話なのでしょうがないのでしょうね(←細かい話はわかりません)。
「1回の送金上限」はあれども「1日の送金上限」は無いので数回に分けて送ることもできるのでしょうが、その際は個別で確認の連絡が入るようです。
また、細かく比較していませんが数百万円を送る必要がある場合は銀行の方が安く済む可能性もあるかもしれませんね。
まあ送金額が数万円~数十万円であればトランスファーワイズの方がお得でしょう。
デメリット③ 最初の手続きはちょっと面倒

実際に「お金」を動かすサービスだけあり最初の本人確認はやや面倒。
日本の住所証明が必要となるのですが、その際「ハガキを日本で受け取り、アクティベーションコードを確認する」ことが面倒です。
海外在住組みならわかるかと思いますが「証明書の記載住所でハガキを受け取ってくれる人が必要」となります。
オンラインで本人確認し、ハガキを送り、ハガキを受け取り…という手間を考えると最初の手続きには最低でも3~4日は必要になります。
なので「必要となる前に手続きだけ済ませておく!(←登録は無料)」のがおすすめです。
参考 トランスファーワイズ
トランスファーワイズ(TransferWise)を使うための条件
残念ながらトランスファーワイズには使うための条件があります。
下記条件を満たせない場合は利用できません。
- 日本に本人名義の銀行口座があること
- 海外に本人名義の銀行口座があること
- 「マイナンバー書類」がある、もしくはマイナンバーは無いが「顔写真付き証明書」があること
- 日本の住所でハガキを受け取れること
軽く補足します。
条件1 日本に本人名義の銀行口座があること
日本円を送るのであれば日本に銀行口座がなければ話になりません…。また、重要なポイントですが個人利用の場合「本人名義」での口座が必須となります。
先に書いておきますが、「親父の日本口座」から「娘のインドネシア口座」へ送金とかはできません。
あくでも「本人→本人」が原則です。
条件2 海外に本人名義の銀行口座があること
ということで海外にある口座も「本人名義」でなければなりません。送金元口座と同じ方の名義である必要があります。
トランスファーワイズのQAにも「名義が違う場合は返金する」と明確に記載されていますのでご留意ください。
条件3 「マイナンバー書類」がある、もしくはマイナンバーは無いが「顔写真付き証明書」があること
日本の金融サービスを語る際、在留邦人の中で気になるのは「マイナンバー」の必要有無です。
トランスファーワイズは今のところマイナンバーが無くても「非居住者向けの特別措置」として登録できます。
実際筆者もマイナンバーはありませんが利用開始できました。
ただし!「顔写真付きの証明書(≒免許証かパスポート)」が無いと登録はできません。
条件4 日本の住所でハガキを受け取れること
住所証明ができても「アクティベーションコード(※)」が記載されているハガキを受け取れないと本人確認は完了しません。
※数字の並びです。これをオンラインで打ち込んで認証が完了します。
ご家族かご両親、もしくは超仲の良い友人などの力をうまく借りてください。
もしくは「奇跡的なタイミングで一時帰国にうまく合わせる」かです。
初期登録さえ済ませばとにかく楽なので試してみてください
最初の手続きこそ少し面倒ですが、開設してしまえばとにかく便利でお得なサービスです。
特に円高ルピア安のタイミングなどでは日本円をまとめて移動したい、という場合もありますよね。
そんな時に手元(スマホ)に送金できる手段(トランスファーワイズのアプリ)があるとものすごい便利です。
かれこれ筆者も銀行送金、キャッシング、ペイパルを使って資金移動、などいろんな方法を試してきましたが、現段階ではトランスファーワイズが断トツです。
インドネシアに銀行口座があり、日本口座から資金移動する必要のある方はぜひ試してみてください。
参考 トランスファーワイズ