海外生活役立ち

外国人配偶者の「特段の事情による入国ビザ緊急発行措置」の体験談 (親族の葬儀)

筆者はインドネシアのジャカルタに在住しており、インドネシア人の妻と国際結婚しています。

先日、日本で母が亡くなりました。

概要はこちらにまとめています。

海外在住組が親の死に目に会うために準備しておきたい5つのこと自身の体験を元に、海外にいながら親が危篤になった場合…を想定して準備しておいた方が良いことをまとめました。何かしら参考になれば幸いです。...

今回は「国際結婚して海外に住んでいる日本人」の皆さんに共有したいことがあり記事を書いています。

それは「特段の事情による外国人配偶者に対する入国ビザの緊急発行措置」について。

ポイントをまとめると以下の通りです。

  • 母の急死によりインドネシア人の妻を日本へ連れていく必要が急遽発生した
  • 妻は事前に入国ビザを持っていなかった
  • 「特別な事情」を認めてもらうことにより即日で入国ビザを発行できた
  • 臨終には間に合わなかったが葬儀には駆けつけることができた

筆者と同じような状況に陥った方の元に、

また将来的に起こり得る方の元に、

この記事が届くことを切に願います。

母が骨になる前にどうしても妻を会わせたかった

ジャカルタで「母が危篤になりもう助からない」と突然の連絡を受けた際に、頭の中によぎったことの一つ。

それは

「一目でいいから妻と母を再会させたい」

それが無理なら

「せめて骨になる前に妻に母を見せたい、棺桶の前でもいいから一緒に飲ませてあげたい」

ということでした。

 

筆者の両親は外国人である妻を実の娘のように受け入れてくれていました。

そして筆者の妻も、筆者の両親を実の親のように慕ってくれていました。

(過去形になっていますが、父はまだ存命です!)

 

コロナで会えないうちに日本語を勉強して、次に日本に行った時は日本語でお父さんやお母さんと一緒に飲みたい。

と、一生懸命日本語を勉強していたんですよね(トレーニング?の結果、酒もあらゆる酒が飲めるように…)。

とうこともあり、悲しい知らせを受けて筆者が跳ぶように日本へ単身で向かったものの、

「なんとか妻も日本へ入国できないか?」

と空港へ向かう中、考えをめぐらせました。

 

日本へ入国できるビザは持っていなかった

インドネシアと日本は「お互いビザなしで入れるようにしようぜ」と取り交わしているものの、インドネシアから日本へ入国するためにはビザの申請が必要な状態です(少なくとも2023年1月時点では)。

コロナ対策が緩和されたこともあり、妻も日本への入国ビザ(一度発行すると3年有効)の準備は開始していました。

ところが「訪日観光人気」により日本の入国ビザは大行列の待ち状態。

ようやく申請のためのアポ予約(2~3週間後だった)が取れたところでした。

つまり、普通に進めると1-2日後の通夜や葬儀には間に合うわけもない状態です。

え?結婚してるなら配偶者ビザで入れるんじゃないの? と思った方のために補足をしておくと、「日本の配偶者ビザ」と言うのは海外で結婚しただけでは降りません(少なくともインドネシアの場合)。日本人側が先に日本に入り、ちょっと面倒な手続きを経て…降りるものです。だから筆者の妻の場合はインドネシアの日本国領事館で日本の入国ビザを発行してもらう必要があります。

 

「特段の事情」による上陸許可

そこで思い出したのが「特段の事情による上陸許可」の件。

コロナのピーク時、外国人が日本に全く入れなかった時期に「万が一の時に妻は日本へ入れるのか?」と考えたことがありました。

その時に以下を記憶していたのです。

  • 上陸拒否している状況下でも、特別な事情の場合は人道的な措置として上陸許可が降りる
  • 「特別な事情」には「親族の見舞いや葬儀」が含まれる

であれば、外国人が入国できる現在でも「特別な事情」で上陸許可が降りるのではないか?と。

管轄は日本の外務省ではなく海外現地の領事館

結論から書くと、本措置の管轄は日本の外務省ではなく海外現地の領事館です。

というのも以下のようなやり取りがありました。

[初日]

  • スカルノハッタ空港へ向かう車の中から在尼日本国大使館に電話。夜間受付の方に丁寧に対応されるが、夜間窓口では情報提供も判断もできない、ということで翌朝に連絡してほしいとの旨頂く。

[2日目]

  • 翌朝に羽田空港から乗り継ぎの合間に日本の外務省に電話(インドネシア大使館はまだ開館前の時間帯だったので)。「各国の領事館での判断になる」とのこと。
  • 羽田から妻に連絡。筆者が飛行機に乗りそのまま病院へ直行するためケアができない。妻自身で大使館に連絡して判断を仰いで欲しいと伝える。
  • 妻から「ビザが降りる可能性がある」、「必要な書類一式」の連絡が来る。
  • ここで母が亡くなる

病院で母を見送る中で、さらに日本から、心情的にも物理的にも筆者は何もできないわけですよ。

ということで、ここから以下の流れとなりました。

  • 妻が自分で可能な範囲で書類一式を準備し、私はスマホでサイン。妻からメールで大使館へ送付(この時間にはすでに大使館は閉館)。

 

[3日目]

  • 翌朝大使館より妻に「特別措置としてビザを発行する」と連絡あり。即座に夜発の航空券を購入し、持参して大使館を訪問。
  • ビザが降りる。

[4日目]

  • 午後に妻が到着し、通夜や葬儀に参列。

 

大使館の判断のために必要な書類

妻から連絡が来た「必要書類」は以下の通り(妻から来た原文そのまま)。

矢印は和訳。

– letter from hospital, explain okaasan condition ( shindansho)
⇒母が危険な状況だという病院からの診断書

– surat bukti hubungan keluarga – try both our wedding certificate and from japan
⇒婚姻関係を証明する書類(できれば日本とインドネシアのものを両方)

– surat permohonan visa waiver application in japanese or english (to explain i need to be there because mother in law is in critical condition. – ini i can help drafting
⇒ビザ免除の申請書(義母危篤により来日する必要があると伝える書面)

正直これを見た時は無理か…と諦めかけました。

というのも、筆者側(家族も)は気が気じゃないので病院で診断書をもらう余裕もない。

当然、日本側の婚姻証明書=戸籍謄本なんて市役所に行って用意している時間も心の余裕もない。

でも…

妻と相談し、最終的には「ダメ元で準備できるものだけでも送ってみよう」という話に。

以下を送りました(対応は赤字)。

– letter from hospital, explain okaasan condition ( shindansho)
⇒母が危険な状況だという病院からの診断書

妻から連絡が来たほぼ直後に母が亡くなったため、「死亡診断書」を日本語のまま送付。

 

– surat bukti hubungan keluarga – try both our wedding certificate and from japan
⇒婚姻関係を証明する書類(できれば日本とインドネシアのものを両方)

戸籍謄本は諦め、インドネシア側の公的な婚姻証明書類を送付。

 

– surat permohonan visa waiver application in japanese or english (to explain i need to be there because mother in law is in critical condition. – ini i can help drafting
⇒ビザ免除の申請書(義母危篤により来日する必要があると伝える書面)

妻が英語で作成したものに、筆者がスマホで病院からサイン(スマホからなので巨大サイズのサインに…)し、送付。

結果、受理されてビザの即日発行となりました。

 

判断は各地の日本国大使館にゆだねられている

何度も言いますが、本件は外務省管轄ではなく「現地」の「大使館(領事館)」の判断です。

国によっては異なる書類が必要になるかもしれませんし、許可が降りないこともあるかもしれません。

ただ、外国人配偶者に対するこのような措置がある、と言うことは覚えておいて損はないかと思います。

もし筆者と同じような状況に陥った方がいれば、最後まであきらめずにトライしてみてください。

その際は筆者の情報だけではなく、まず滞在国の日本国大使館や領事館に連絡し、必要な書類などの情報をもらってください。

 

不備があってもやるだけやってみてください…

このような状況では「後悔しない」ことが大事だと思っています。

 

筆者の書類もおそらく完璧な書類ではなかったと思います。

事態や心情を理解いただき、迅速寛大な判断をしてくださった在尼日本国大使館の担当の方には心より感謝しています。

おかげでお骨になる前に、筆者の妻を含む家族全員で亡くなった母と酒を飲むことができました。

 

本当にありがとうございました。

ABOUT ME
jakameshi
ジャカルタ飯の主宰です。ジャカルタ在住で奥さんはインドネシア人。生活・仕事・観光・ご飯・国際恋愛…。守備範囲は広いです。最近はYoutubeチャンネル(ジャカメシちゃんねる)も始めました。ぜひチャンネル登録お願いします。
error: 本サイトのコンテンツはコピーを禁止しております。店情報など必要な場合はリンク先や地図情報を参照してください。