インドネシア/ジャカルタの生活や文化

【2019年版】これだけは知っておこう!ラマダン(断食月)って何?注意事項は?

マスジド

インドネシアで年に一度必ず訪れるラマダン。

このラマダン、宗教がない国で育ってきた日本人にはいまいちピンと来ないことも多いかと思います。

しかしイスラム教の人々にとっては一年で最も大切で神聖な時期でもあり、我々外国人が注意すべきこともあります。

本記事ではインドネシアで新生活を始めた方やこの時期に、インドネシアに来た出張者向けにラマダンについて基礎情報をまとめています。

そもそもラマダンって何?

イスラム教の人々が教義に則り、約一ヶ月間の断食(インドネシア語でプアサ)を行う期間のことを「ラマダン(断食月)」と呼びます。

「断食」といっても一ヶ月間何も食べないとさすがに死んでしまいますので、「夜明け前から日没まで」断食を行います。

イスラム教ではない筆者からすると「大変そうだな」なんて思ってしまいますが、実際身体的には大変らしいです。

ただ、ムスリムの方にとってはとても大切な時期で、皆さん非常に神聖な気持ちになるそうです。

この時期が近づくと、おばちゃんたちの日常会話の中にも「いや~、もうラマダンの時期が来たわね~、食料買い込んでおかないと。」なんて会話が聞こえてきます。

 

いつから、誰が決めたの?

決めたのはもちろんイスラム教で最も重要な人物のムハンマド(※)。

※正確に述べると「アッラーの啓示を受けた預言者ムハンマドが皆に伝えた」ということになります。

断食はイスラムの「五行」である信仰告白・礼拝・喜捨・断食・巡礼の一つです。

624年にムハンマドが隊商と戦い(バダルの戦い)になり、勝利したことを記念してこの月をラマダンとすることにした…という情報もありましたが、ムスリムの方曰く「”戦いの勝利”と”断食の掲示”との因果関係は特にない」とのことです。

断食の目的は純粋に「アッラーの命令に従うため」。

ヒジュラ(聖遷)での辛さを追体験するため、また食料への感謝の気持ちを持つために、などと言われることもありますが、それは副次的な効用であり、あくまでも断食の目的はアッラーへ従うことにあるそうです。

 

ラマダン中の生活リズム

この時期、ムスリムの方々の生活スタイルは一変します。

まず、超早起きになります。

3時か4時くらいに起床し「サフール」と呼ばれる断食開始前の食事を取ります。

太陽の光で大地と空が識別できる時間(スブフ/ファジャル、夜明け前の礼拝時間になった時)からその日の断食が始まります。

モスクからアザーン(礼拝時間を告げる声)が聞こえたら断食開始。

その日の夕方6時30分頃の日没までは何も食べず、お水も飲みません。

 

日没時のアザーンが聞こえたらその日の断食を解きます。

水や軽食で断食を解き、礼拝をおこなうのが本来の姿で、この断食を解くこと自体を「ブカプアサ(Buka Puasa)」と呼びます。

12時間以上胃に何も入れていないため「タジル」と呼ばれる甘いものを食べて胃をなじませる…なんてことを聞いていましたが、人によっては最初からゴレンガン(揚げ物)をガシガシ食べたりしています(特に若い男性に多いような…お腹すきますものね)。

これは私見が混じりますが、この「ブカプアサ」時の食事は特別なもので、軽いイベントのような意味合いを持っているように感じます。

断食明けをみんなで「今日も頑張ったな!」と分かち合う感じなのでしょう。

筆者も「お前もいっしょにブカプアサ混ざれ!」なんて言われたことも多々あります。

会社でも断食月の初期にはブカプアサを皆で迎え、ブカプアサ時の食事を皆で分かち合うような日を持つことがあります(宗教関係なしに参加可、もちろん酒は厳禁!)。

また、筆者友人の中には「仕事優先でこのブカプアサを雑に扱ってしまった」ため、インドネシア従業員からしばらく総すかんを食らった人もいます。

 

開始時期が毎年違う理由

ラマダンは毎年時期が変わります。その年の断食月はイスラム歴に則って決まるからです。

イスラム歴は純粋な太陰暦で、月の動きで暦を決めていきます。月の動きは約29.5日ですが、我々が普段使う太陽暦は一ヶ月が30~31日。

この差が積み重なり、毎年ラマダンの時期はずれていきます(あくまで太陽暦で考えた場合)。

今年2019年は5月6日~6月4日までですね。

インドネシアでは宗教省のアナウンスによって開始直前に開始日が決まるのですが、イスラム歴によりある程度時期は決まっています。2020年までの予定はこのようになっています。

西暦 イスラム歴 開始日 終了日
2017年 1438年 5月27日 6月25日
2018年 1439年 5月17日 6月14日
2019年 1440年 5月6日 6月4日
2020年 1441年 4月24日(予定) 5月23日(予定)

 

レバランって?

レバランとは断食明けの大祭のことです。インドネシアでは断食明けの少し前からレバランモードに入ります。

毎年この時期は大祭に合わせて有給奨励日などが付与され、長期休暇となるのが常。

2019年は断食明け大祭の6月5~6日を含む、6月1日から9日までの9日間が休日(有給休暇一斉消化日含む)となっています。

ちなみに雇用主はこの時期にレバランボーナス(Tunjangan Hari Raya / 頭文字をとってTHR(テーハーエル)とも呼ぶ)と呼ばれる給与を払わねばなりません。

最低で月給の一ヶ月分。この支払義務は法律で決められています。

さて、ムスリムの人たちにとってはこのレバラン休暇が年に一度のスーパーホリデイ。日本でいうところの年末年始に近い感覚でしょう。

ジャカルタからはこぞって皆さんホームタウンへ帰ります。メイドさんや運転手さんも例外なく帰省します。

ジャカルタ市内は企業も活動停止しており、サービス業もまばら。

さらにメイドも運転手もいない、となり外国人たちももっぱら本国へ帰ったり他国へ旅行へ行くのが常となっています。

 

我々外国人が注意すべきこと

さて、インドネシア人口の9割を占めるムスリムが最も大切にしているラマダン。この時期は我々外国人が気を付けるべきことがいくつかあります。

 

敬意を示す

まず、この行いに対して敬意を示して接することが大切です。逆に、きちんとした敬意を持てれば自ずと行動も改まり、後述するようなことも些細な問題になってきます。

インドネシアの素晴らしいところはムスリム以外の宗教もしっかりと根付き、同居していること。この秘訣に「お互いをリスペクトする」というポイントがあります。

無神論者が多い日本人にはなかなか理解しにくい部分ですが、インドネシアの多くの人たち(ムスリム以外の宗教も含め)は「生きるために祈る」のではなく「祈るために生きる」ような人たち、という印象を受けます。

筆者は「自分には持てない考え方や生き方を貫いている」という意味で彼・彼女らを尊重しています。

 

人前でご飯を食べない

教義上の神聖な行い、とはいえムスリムの皆さんは空腹です。

彼らの前で昼間にご飯を食べたり、水を美味しそうに飲むのは控えましょう。

オフィス内はもとより、路上でも、お店でも。

ちなみにこの時期、レストランなども料理が外に見えないようにカバーしている場合があります。

 

メイドや運転手にはボーナスを

レバラン時期、雇い主の場合はボーナスを支払います。

仮に会社から給与を支給している場合でも、感謝の気持ちを込めて何かお菓子などを渡すととても喜ばれます。

この時期はスーパーでもムスリムの方向けのギフトセットが売られていますね。

きっとお歳暮的な感覚なのかな、と筆者は捉えています。

相手の文化を理解することは関係構築の重要な一手!

 

仕事の密度を考える

この時期、インドネシア全体で生産性は著しく下がります。

ご飯を食べてないのですから当たり前です。

でも、決して怒らないでください。

ラマダンの時期は「怒りを前に出してはならない」という教えもあります。

賛否はありますが、むしろ状況を理解し仕事の内容をコントロールしてあげましょう(※)。

※断食を言い訳に仕事量を減らす必要はないが、時間の調整など配慮できる部分は配慮するという意味です。

この時期は押し付けても無理なものは無理なのです。例えば夕方に頭を使う仕事をお願いしても空腹で集中はできないかもしれません。

それよりも良いパートナー、良いボス、良い会社、として配慮を通じて関係を強化した方が得策かと思います。

 

ビールが急須で出てきても驚かない

この時期、グラスやジョッキでビールは飲めなくなります。

ピッチャーは急須に、グラスは湯呑になったりします。洋風の店ではティーポットでビールが出てきたことも。

そもそもムスリムの中で禁忌とされる「お酒」を外に見せないためです。

飲むのは夜だし、どうせ彼らも飲まないからいいじゃん!と思ってしまいがちですが、これも「相手を尊重してあげる」ことの一つなのでしょう。

 

まとめ

以上、いかがでしたでしょうか。知ってるようで、意外に人に説明しようとすると難しかったりします。

ちなみに、「注意すべきこと」でビールのことを書きました。ビールでですらこうですから「夜遊び」できるところも激減します。

どこでなら遊べるんだ!?なんて野暮な探索はせずに、この時期は我々日本人も神聖な気持ちで過ごしてはいかがでしょうか。

日本人の中でも断食に合わせて「断酒」や「禁煙」を試みる人もいます。

趣旨は違いますが「自分を律するという」目的では取り組みやすいタイミングかもしれませんね。

 

本記事の内容についてはインドネシアで翻訳&通訳として活躍され、ご本人もイスラム教徒であるしみずじゅんこさんからいくつかアドバイスをいただきました。

正確性が担保され、より価値のある情報になっているかと思います。

この場を借りて御礼申し上げます。

ラマダンに関するさらに深い情報が欲しい方はしみずさんの無料資料で読むことができます。

 

最後に、イスラム教に「なんとなく」興味を持った方には阿刀田さんの本が入りやすくておすすめです。

コーラン以外にも旧約聖書や新約聖書のバージョンもあり、興味を持つきっかけとして非常に読みやすいです。

筆者はこの本をきっかけに、新約聖書や旧約聖書など阿刀田さんの本をガッツリ読み漁りました。

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jakameshi
ジャカルタ飯の主宰です。ジャカルタ在住で奥さんはインドネシア人。生活・仕事・観光・ご飯・国際恋愛…。守備範囲は広いです。 更新情報が届くFacebookページはこちら くだらない小話も届くTwitterはこちら 地味な写真が届くInstagramはこちら
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