先日、ジャカルタ仲間の日本人の方(嫁がインドネシア人でインドネシア人社会寄りの人)と情報交換会(=飲み会)がありました。
その方と雑談で盛り上がった内容が面白かったので書いてみます。
きちんとデータで立証される話ではないので、酔っ払いの与田話程度にふーんと読み流していただければと思います。
話した内容というのは「インドネシアで水面下に流れるお金」についてです。
高級車がやたらと多いジャカルタ
筆者はインドネシアの他のエリアに住んだことはありませんが、ことジャカルタにいると「見えないお金持ち」の臭いを多々感じることがあります。
例えば、ジャカルタで生活しているとよく高級車を見かけます。
フェラーリを街中で見ることはありますし(渋滞に詰まってるフェラーリを見た時はなぜだか悲しくなりました)、ポルシェやベンツ、BMW、レンジローバーなんかはかなり頻繁に見かけます。
お金持ちだけが集まる高級エリアで見るのであれば何も感じないのですが、面白いことに一般的な住宅街や、コス、そして少し古いアパルトメントにも高級車があります。
また、上述のような有名車種ではなくとも、街中を走る車は全体的にご立派なミニバンが多い。誰しもがジャカルタに降り立った時に「いやー、みんな結構いい車乗ってるなぁ」と思うわけです。
社用車も確かに多いのですが、一般住宅街などの居住区に停め、休日に家族で乗り込んでいることから「個人の車」として所持している人も多いのでしょう。
稼ぐ方の人たちでも「いい車」を買うのは容易ではないのでは?
重ね重ね言いますが、ジャカルタにはいい車が多い。
それはジャカルタに富裕層が多いから(聞いた話だとインドネシアの富裕層の70%はジャカルタにいるらしい)!
ということ”だけ”では説明できないくらい多いよね?と思っているのは筆者だけではないでしょう。
では、一般消費者が成長してるからだ!ということなのでしょうか?
うーん、それを追加しても説明が厳しいのではないか?と思うのです。
少し一般の方々の所得を見てみます。
ジャカルタの2017年最低賃金(月給)は3,35,5750 IDRで日本円にすると2.82万円くらいです。
もう少しわかりやすい話をすると、ジャカルタで働くインドネシア人の平均給与は諸説ありますが5~8万円くらいという説が一般的です。
もちろん、分布は激しく、下は最低賃金を下回る人たちもいれば、上は日本人と同じ給与を取る層までいます。
ローカル飲食店の従業員や、工場労働者が一番低くて月2万円を下回る程度の給与(いまだにローカル系飲食店では2,000,000 IDRなどで働く人もいます)。
4大学卒のフレッシュマンで初任給が4,000,000 IDR程度でしょうか。
ローカル企業のマネージャー職で80,000,000~15,000,000 IDR程度でしょうか。シニアマネージャーやダイレクタークラスが見えてようやく20,000,000 IDRを超えていくのが一般的な印象です。
ちなみに給与が高いと言われているお役所の役人さんだと一般専門職員で9,000,000 IDRです。
職種や役職で異なりますが、乱暴な言い方をするとだいたい日本の1/6~1/3程度の給与と言えます。
一方で自動車の値段が1/6~1/3になるかと言うとそうでもなく、車の価値はそこまで変わりません。
インドネシアなどの新興国は消費を促すためにローンが組みやすいのですが、それでも年収100万とか200万とかの人が”いい車”をバンバン買えるのか?と思うのです。
報告されない所得の存在
自動車は一つの例で、それ以外にも「え?どこからそんなお金が出てくるの?という海外旅行」や「え?そんなに親から資金援助が出るの?という結婚資金」など不思議な話が多いインドネシア。
まぁ確かにアジアは超絶お金持ちが多いとは言いますが、お金持ちではない人もお金を持っていたりするのがインドネシアだねぇ、なんて話をその友人とはしていました。
その理由の代表的なものは、悪名高い役人勢の小遣い稼ぎ。
特に日本人や日系企業は狙われることも多く、ビザ関係や労働法違反などで「え?これあなた(公務員)の年収くらいあるよね?」という「お小遣い」をせびられたという話も枚挙にいとまがありません。
警察や消防なども同じ。
最近聞いたひどい話だと、飲食店でボヤがあって消防車を読んだら複数台がかけつけ、3億 IDR(260万円くらい)を請求されたそうです。そこから交渉して1億台まで下げたそうな。
また、民間企業でのキックバックも非常に多い。
ローカル担当者同士での現金キックバックも多いですし、投資家を騙してお金を還流させて……見えないお金が海外に、なんて大きめな話を聞くことも決して珍しくはない。
当然これらの裏で流れるお金は履歴としても残ることも無ければ、丁寧に報告されることもない。そして税金が払われることもない(※)。
※インドネシア国外の方への情報ですが、現インドネシア政権はこれらの不透明な流れを止めるべく頑張っています。
データには現れない水面下はいかほどに?
蓄財方法の良し悪しは置いておいて、とにかくインドネシアは表に出てくる情報だけだと見誤るよね、という話をひたすら紹興酒を飲みながらしていました。
実際水面下で流れるお金を換算すると、もしかするともう一回りパワーがあったり、なんてことがあるのかもしれません。
一方でその逆のパターンもあるかもしれません(報告されているよりも貧困層が多く、全体的にパワーが下がったりとか)。
いずれにしても、既存の公開情報だけではこの国は計り切れず、実際に目で見て、欲しい情報を取りにいかないとダメだね、という結論の飲み会でした。
そこから先は「国際恋愛の難しさ」というテーマ。それについてはまた別の機会に。