インドネシアはムスリムの方々が多く住む国。その影響もあり酒税が異常に高いです。

ただ、幸いにもいくつかのビールは国内で造られておりお値段も日本とほぼ同じ程度で飲めます。
さらに意外なことに、けっこう種類があったりします。
しかもオランダ領だったので味も美味い。
本記事ではインドネシアを訪れる人、生活開始したばかりの人に向けて『インドネシアのビール』について情報をまとめます。
インドネシアでは世界的なビール銘柄のハイネケンやギネス、カールスバーグ、さらにサンミゲールなども国内製造していますが、そちらには触れません。「インドネシア」の国産銘柄にフォーカスします。
本記事の目次
ムスリムが多い国でありながらビールが美味しいインドネシア
大雑把にいうとインドネシア国民約2.6億人のうち、約9割がイスラム教徒のムスリムです。
ご存知の方も多いと思いますが、イスラム教徒の方は教義によりお酒を飲むことが禁止されています(インドネシアでの実情はさておき、教義上はダメ)。
しかし、意外なことにビールは日本と同程度の価格で飲むことができます。
さらに国産ビールの味もそれなりに美味い。
なぜか?
「オランダ領だったから」という答えが一般的です。
オランダは言わずと知れたハイネケンの国。インドネシアを植民地化していた期間にビール工場を造りました。
しかしインドネシアの独立後に工場はインドネシアよってに強制的に没収。施設もレシピもそのまま置いていかざるを得なかったのだとか。
その後再びインドネシアに再進出し、同じ工場でハイネケンとビンタンを製造しているということです。
荒くまとめると「インドネシアのビールはオランダ品質」ということですね。
だからビンタンビールはもちろん、その他のビールも美味しいのです!
意外に多い!インドネシアの国産ビール銘柄
インドネシアの主要なビールをご紹介します。
味の表現は個人的な好みと表現が反映されていますのであしからず。
また、あまり飲んでいないビールの味コメントは薄いです。
気になる方はご自身で飲んで確かめてください。
ビンタンビール(Bir Bitang)

言わずと知れたインドネシアを代表するビール。
ビンタンとは「星」を意味しており、その名の通り真っ赤な星がトレードマークです。
工場の歴史は長く、1929年に設立。
現在はハイネケングループに属しています。
味はまさに南国のビールらしく、ライトな飲み口で何杯でもいけます。
ちなみに昔は品質が統一されておらず、工場によって味が違ったのだとか。
中には「うーん、このビンタンは◎◎工場のやつだ」と「ききビンタン」ができる人がいたとかいないとか(ほんとかな!?)。
純粋なビール以外にも味付きの「ラドラー(Radler)」シリーズやノンアルコールの「Zero」シリーズも展開しています。
バリハイ(Bali Hai Beer)

ビンタンと2大巨頭と言っても過言ではないのがバリハイビール。
製造元のPT. Bali Hai Brewery Indonesiaは1975年に西ジャワ州で設立された醸造所が始まりで、1993年からバリハイブランドを展開しています。
「バリ」と名がついていますが、ジャカルタや他の都市でも買えるのでご安心ください。
INDONESIA‘S PREMIUM LAGERを打ち出しているだけあり、ビンタンビールよりも少し苦味が効いた味になっています。
別の言い方だと「ガツンと苦みが効いた渋いビール」みたいな感じでしょうか。
ちなみに筆者はメジャーなビールだとバリハイが一番好み。
バリハイにはのん兵衛のファンが多い気がします。
ドラフトビール(DRAFT BEER)

バリハイと同じPT. Bali Hai Brewery Indonesiaが製造するビールです。
こちらも大きなスーパーマーケットではバリハイと並んで売られていることが多いです。
肝心の味は…?
筆者も数える程度しか飲んでいませんが、ぶっちゃけ印象がないです。
良い言い方をすれば飲みやすい。悪い言い方をすれば個性がない。
個人的にはドラフト飲むならバリハイ飲んどけ!という意見ですね。
エルディアブロ(EL DIABLO)

見た目がかっこいいので「輸入もの?」と勘違いされる方もいますが、実はこいつもインドネシアのビールです。
バリハイと同じくPT. Bali Hai Brewery Indonesiaが製造。
この辺りになると「ちょっとこじゃれたカフェやレストラン」で飲むイメージですね。
ほとんど飲まないのでさらにコメントが薄くなるのですが…
ヨーロッパのビールの味に近いです。少し華やかといいますか、フルーティーと言うべきか。
ただ欧州からの輸入ものと比べるとやはり中途半端な感は否めないかも。
酒をこよなく愛するジャカルタの同志よりフォローツイートをもらったのでこちらもご参考に。
@jakameshi EL DIABLOはIPA風、ペールエール系が好きな人にはおすすめです。フルーティさと苦味がいい感じ。
500ml4本で130〜170kぐらいの間と、バリハイにしてはかなり強気の値段だけど、是非飲んでみて欲しい!
— あい@Jakarta (@ai_ciel) February 10, 2020
パンサーブラック(PANTHER BLACK)

なんとこちらもPT. Bali Hai Brewery Indonesiaの製造。
こんなビールがあったのですね…。
味は筆者もわかりません(正直が当ブログのモットーです)。
こちらもフォローのコメントをもらいました。味のご参考に。
@jakameshi PANTHER BLACKは割と苦味が効いてて、お店にギネスがなくてもこれがあれば許せるレベルですよ。
Ankerにもstautビールはあるけど、Pantherの方が苦くて重い感じ。Ankerはサラッと飲めた(個人の感想)
小売が500mlで40kぐらいとやはり強気。ちょっと足したらギネス飲めるのは内緒です。
— あい@Jakarta (@ai_ciel) February 10, 2020
アンカービール(Anker Beer)

アンカーはスーパーマーケットで見つけることができるビールの一つです。
生産元のPT Delta Djakartは1932年創業のBekasiの会社。
オランダはもとより日本の指揮下に置かれたこともあったそうです。
なんとこちらも現在はハイネケングループに属しているそうな。
アンカーの味は、ビンタンよりも濃厚で苦味が舌に残る味。ビール好きの方は好む味かもしれません。
ちなみにアンカーもビンタンリドラーと近い「アンカーライチ」というのを出しているようですが、見たことも飲んだこともありません。
クダプティ(Kuda Putih)

クダプティはレアですよ…。ジャカルタですらあまり見ることがありません。
筆者はバンドンの酒場でたまたま遭遇し、存在を知りました。
アンカーと同じくPT Delta Djakartが製造しています。
クダプティの特徴はなんといっても安さ。他のビールより一回り安価です。
味はさらっとしており、水のように飲めるビールです。
冷たーーーーーくして飲むのがポイントです(ぬるいとまずい)。
プロスト(PROST)

プロストビールは後発ブランドのビール。
発売されたのは本当に最近で、2015年か2016年あたりから(記憶曖昧…)。
製造元はPT Beverindo Indah Abadi というスマランの会社で、Otang Tuaグループというお菓子や飲料、歯磨き粉まで手掛ける巨大地元企業のグループ会社です。
ビンタンやバリハイよりも若干お値段は控えめ。
味は少し苦味があってフルーティーさもあり、地味に「プロスト派」のファンもいます。
一時期筆者もプロストばかり飲んでいた時期があります(その後、バリハイに出戻り)。
他のビール銘柄とはまた異なる味で、後発ながら見事に市場に定着した感があります。
スターク(Stark)

スタークはバリ発のインドネシアクラフトビールブランド。
世界的にクラフトビールが広がっていますから、バリからクラフトビールが生まれてきても不思議じゃないですよね。
ジャカルタのスーパーマーケットではまず見た記憶がありません。
ジャカルタでもおしゃれなレストランやバーでたまに置いてあるくらいです。
WHEATやDARK WHEAT、IPAなど様々なタイプの銘柄を持っています。
2~3回程度しか飲んでいないので批評するほどではないのですが、味はかなり個性的×香りが豊か。
インドネシアの大量生産ビールはもう飽きた!という方にぜひおすすめしたいところです。
でも価格もちょっと高いのが難点。
まぁクラフトビールは少量生産ですからしょうがないですね。
インドネシアビールの買える場所や値段
国外の方向けに、買える場所はお値段について触れておきます。
インドネシアでビールを買える場所
インドネシアではコンビニでお酒は買えません。2015年より禁止となりました。
現在は大きめのスーパーマーケットの「端の方」や「レジ近く」でひっそりと並べられています。
スーパーマーケットはちょっと大きめのショッピングモールに行けば必ず入っています。
インドネシアのビールの値段
スーパーマーケットの売価だと、インドネシアの国産ビールのお値段は日本のビールとほぼ変わりません。
記事執筆時点(2020年)だと1本あたり170~280円くらいです。
飲食店での価格はピンキリです。
地元資本のお店で飲めば300円程度で出している店もあります。
逆に外資ホテルやルーフトップバーなどだと800円くらい取るお店もあります。
蛇足ですがビンタンビールの出値を見ればそのお店の客単価(メニュー全体の価格帯)が見えます。
「このお店のお値段どれくらいかな?」と困った時はビールの価格をチェックしましょう。
南国で個性的なインドネシアビールを楽しみましょう!
こうして並べてみると、意外に多いと思いませんか?
ビンタンやバリハイのイメージが強いですが、まだまだマイナーなビールがあるのです。
お酒好きの方はぜひ全踏破を目指してみてください。
筆者もパンサーブラック探して全踏破します!