筆者は駐在員という立場ではありませんが、駐在員という立場でインドネシア(他海外も)へ来ている人こそもっと専門ブログなど立ち上げて情報発信をしてほしい、と最近感じています。
その理由をまとめてみます。
本記事の目次
海外の専門的な情報にはものすごい価値がある
駐在員の方は狭く深く特定事業に従事しています。貿易なら貿易、物流なら物流、インフラならインフラ。
先日物流企業の担当者へ仕事について相談させていただいたのですが、知識の量がすごい。さらに、実践的な知識なので大変勉強になりました。また、スケールが大きな話は筆者は不慣れなのでそこも面白かった。
こういう類の、言うなれば各産業の深い専門情報はもっと日本に発信していくべきではないか、と思うのです。
日本にいるとインドネシアのリアルな情報なんてまったくわかりません。在住者の方はわかると思いますが、出張ベースで来てても得られる情報なんてたかが知れてます。
現地で得た仕事にまつわる生情報というのは、現地で普段働く当事者が考えているよりも貴重です。
余談ですが、最近筆者が気になったのは越境ECのテーマ。
日本では中国の次は東南アジアだ!と盛り上がっています。
いつも感じるのは「物流をどう解決するつもり?」という疑問。
インドネシアは税関プロセスが不透明なので、個人輸入だとしても海外から物が届かない場合もある。
また、関税ルールも曖昧で、インドネシアへ届いた後に大量の税金を払う場合もある。
さらに、インドネシア地方部となると国内に入ってからの問題もあるようですね。
このあたりのインフラが解決されないとインドネシア側は越境ECどころじゃないはずですが、そこに答えてくれる情報は無い(筆者が知らないだけかもしれないです)。
中国の場合はECを通した個人輸入についての優遇措置がされたのがインパクト大だったのでしょうが(詳しいことは知りません)、インドネシアで同じことが起きるとは限らず。
こういうあたり、先日お会いした物流の方がプロの視点で「物流のプロとして思う、インドネシアの越境ECの課題と解決可能性」とか情報投げたら一歩前へ進むと思うのです。別にそこに答えは無くてもよく、考えるポイントやきっかけがあればよい。
他の産業でも似たようなことはあるんじゃないでしょうか。
JETROさんだけに任せるのではなく、民間からも個人からももっと発信してはどうか。それが行く行くは日本のためにも繋がるはず。
まあ、言えないこともたくさんあるのでしょうが、そこはうまくバランスを取っていただければと…。
日本担当者とのギャップを埋める
オマエガキテヤッテミロ。
呪いの言葉ではありません。俗に言うOKYで、海外担当者の心境を表した言葉です。
海外事業の歴史が長い会社だとまだマシみたいですが、初の海外進出!でさらに現地で孤軍奮闘する独り駐在員タイプだとホントに辛い場合があるようです。
日本がインドネシアの事情をよく理解せず、日本の感覚全開で仕事を進める。そのため現場との板挟みになってしまうのです(先日も、ノイローゼになり帰任した人の話を聞きました)。
たしかに「ここは海外だから」を言い訳にしてしまうと何も進みません。ただ一方で、単純に日本流をインストールすれば良いかと言うとそれも違います。
ここは人様の国で、ビジネスをさせてもらっている立場、というのを忘れたらうまく行かない。
住んでいれば自ずと自然に順応して行きますが、日本側にそれを理解しろと言っても難しい話です。
だからこそ、リアルな現場の日々をもっと現場から発信する人が増えると良い。
もちろん苦労話を日記にしているだけでは意味が無いですが、リアルな日々の話や、成功体験、他者から聞いた参考になる話、などはすごく価値があります。
海外進出が初めての会社の場合、マネジメント方法なども暗中模索で進みます。少しでも参考情報があれば、現場担当者と日本側の双方にメリットが生まれると感じています。
自分のためにもなる
読み手のメリットばかり挙げましたが、書き手自身にもメリットがあります。
ざっと思いつく限りでも下記のようなメリットがあるでしょう。
- 思考の整理
- ビジネススキル
- 観察力
- 個人資産
頭の中身がスッキリ整理整頓
自分の中で整理されてないことは文章には落とせません。モゴモゴしたことでも、文章にする過程で削ぎ落とされていき、しっかりと自分の見識として定着します。
ライティングスキルが上達する
不思議のもので、書けば書くほど文章の奥深さを感じます。
わかりやすく相手に伝えるためにはどうするか?
興味を持ってもらうためにはどういう言葉を使うべきか?
答えのない世界ですが、続けていくと表現方法は増えていく。
普段の仕事でも応用が効きます。メール、報告書、などのライティングスキルがアップします。
観察力アップ
アンテナを張る、と引っかかる情報が増えます。
何気なく生活するのと、あるテーマを意識して生活するのではキャッチできる情報に雲泥の差が出ます。
今まで気づかなかったことに気づく。それは刺激が増えることであり、生活を面白くしてくれます。
自分のメディアは資産になる
ある程度それなりのやる気で続けていくとお小遣いの一部程度の収入を生んでくれます。
ビンタンビールがインフレで値上がりしても、値上がり分に動じないくらいの余裕が出るかもしれません。
まぁ金銭的な話よりもブログを通してできるネットワークや信頼性の方が価値があります。
筆者のように匿名だと限界はありますが、もし特定の個人としてやるのであればその恩恵は大きいです。
せっかく海外にいるなら機会は使った方がいい
2015年外務省の統計によれば、在外邦人の数は約131万人です。
日本の人口を1.2億人とすると、在外邦人比率は総人口の1.1パーセント。
駐在してるということは、それだけで100人に1人だけの体験をしているということ。
そりゃあ情報に価値が出ますよ。そこに特定産業の情報をクロスすれば出現率0.01%程度(適当に100業種として割ってみた)。1万人に1人しか発信できない情報になるかもしれません。
もし時間があるならば、現地からの情報発信を始めてみてはいかがでしょう?