先日、日本で暮らしている72歳の母が他界しました。
その日の母はいつものように父と午前中に馬鹿話をし、雪かきをし、夕方に買い物に行きました。
帰宅時に車がなかなか駐車できないのを気にした父が様子を見に行くと、母は車内で意識を失っておりそのまま救急車で搬送。
診断名は「脳幹出血」。手の施しようがなく回復は絶望的とのことでした。
そしてそのまま意識が戻ることなく、車内での発見から約24時間後にそのまま息を引き取りました。
親が自分より先に死ぬのは自然の摂理です。でもまさか、このような、あまりにも急な形で去ってしまうとは思っておりませんでした。筆者の親戚はみんな入院しながらゆっくりこの世を去っていったからなぁ…(しかもみんな肝臓系疾患)。
3年ぶりの対面で、まさかチューブを繋がれて弱っていく母を見せられるなんて…なんという試練でしょうか。今でも気をゆるめると涙腺が…というのがしばらくは続きそうです。
せめてもの救いは、私含めて実家を離れて暮らす子供全員が24時間以内に駆けつけ、母を見送ることができたこと。
母に無理な延命措置をせず、苦しませずに逝かせるという判断を家族全員で決められたこと。
そして、人生最深部まで落ち込む父を隣で1週間支え続けることができたこと、でしょうか。
*
さて、そんな筆者の悲しみを聞いてくれ!というのがこの記事の趣旨ではありません。
筆者の経験したことから、少しでも活かせることを伝えたい、というのが趣旨です。
話を進める前に一言だけ。
海外に住んでいて親の死に目に会えなかった方はたくさんいるはずです。そしてコロナの3年間には国内外問わず多くの方が悲しい事態を経験されたと思います。もし私の記事で思い出させてしまったり、不快にしてしまったらごめんなさい。
また「死に目に会う」ことを重視しすぎることが重荷になる、という考え方もあると思います。その点は強要するつもりはありません。ただ筆者個人としてはやはり会っておきたかったし、会話はできなくとも見送れて良かったと感じています。
さらに、ここに書くことは何かの解決策でも答えでもありません。場所や働き方など、条件によってはやはりあきらめなければならないこともある。でも、海外に住んでいる同胞の皆様が何かしら考えるきっかけとなってくれれば、それだけで書いた甲斐があったと思っています。
それでは筆を進めます。キーボードですね。
本記事の目次
海外から駆けつけるのはやはり大変です

筆者が住むジャカルタと筆者の地元は6600キロ離れています。
しかし奇跡的に、父から「母が倒れてこのまま亡くなる可能性が高い」と連絡を受けて19時間後には病室へ駆けつけられました。
運が良かったのだと思います。
- 飛行機が埋まってる。
- 空港までの車が捕まらない。
- ジャカルタの渋滞を抜けられない。
- コロナ下の制限で即日で向かうことができない。
などが少しでもあれば母に会えませんでした。
17時に連絡が来て4時間後の21時台の飛行機に乗れましたが、フライトが1本でもずれていれば間に合わなかった。
なので、海外から駆けつける場合は1分1秒を争います。
それでも間に合わない場合があるかもしれません。
しかしそれでも…できるだけ後悔は減らしたい。
あの飛行機に間に合っていれば…と後から悩むのは避けてもらいたい。
そのために準備としてできることは何か?
というのを日本からジャカルタへ戻る長いフライトの中で考えていました。
出国のスピードを少しでも上げるためにやっておきたい5つのこと
長くなりましたがここからが本題です。
とても簡単なことしか書いていません。
しかし「親が危篤」と連絡が来た直後は正常な判断ができません。
手は震えるし、涙も出る中で準備をすることになります。
だからできる限りの準備はしておいた方が良いです。
①最低限の荷物を常に用意しておく

とりあえず3日は凌げる衣服を常に出せるようにしておいた方が良いです。
特に冬。ジャカルタの普段着で真冬の日本に帰るわけにはいきません。こ
できれば一か所にまとめてあると、混乱していても素早く準備ができるはずです。
スーツケースに入っていると完璧です。
筆者はここに一番時間をとられました。
そしてまさかのTシャツにコートという変態ルックで日本まで移動する羽目に。
冗談抜きに、ここで時間をとられるのは本当にもったいないので、なんとかしておいた方が良い。
②仕事道具も常にまとめておく癖を

もしあなたが働いている場合、緊急事態の中でも最低限の仕事は対処する必要があるかと思います。仕事セットを漏れなく持っていく必要があります。
海外で働いていると皆さん慣れているのかもしれませんが、「さくっと出張パック!」のように「これだけもっていけば大丈夫!」というセットにしておくと良いです。
特にケーブル系ですね。
ちなみに筆者は「スマートウォッチの充電器」と「ラップトップの充電器」を忘れました…(後日葬儀に駆けつけた妻が持参)。
③頼れる人を決めておく

知らせが突発的だった場合、親の病状、最悪の事態が起きた場合のこと、飛行機のこと、荷物のこと、仕事のこと、とあらゆることが頭を巡ります。
しかし混乱した頭ですぐに判断を下す必要があります。本当に酷ですよ。
有事の際にすぐに相談できる人を決めておいた方が良いと強く思います。
筆者の場合は日本のビジネスパートナーでした(世代が近く、個人的な付き合いも長い)。
筆者が混乱する中で、正常な判断ができるよう促してくれたり、飛行機の予約をしてくれたり(その間にパッキングができた)、本当に助かりました。
配偶者でも恋人でも叔父や叔母でも、友人でも上司や部下でも。
誰か冷静にサポートしてくれる、頼れる人を決めておくと良いです。
④有事の時の航空券代は確保(覚悟も)しておく

「最速」で到着するチケットを、「当日」に買う可能性が高いでしょう(筆者の場合はフライト時刻4時間前に購入)。
さらに事態がどうなるかわからない場合、「片道」で購入することになるので(筆者は片道切符でした)、お値段非常に高いです。
事態が事態ですので金と天秤にはかけられません。
ただ無い袖は振れないので急な出費に耐えられる確保と、覚悟はしておいた方が良いです。
⑤最低限の戸締りはチェックリストに

おそらく半パニック状態で家を去りますので、抜け漏れのないように戸締りリストはあった方が良いかもしれません。
筆者の場合は妻を残していったのでまだよかったですが、もし1人だったら「猫」を放置して出ていったり…とかもあったかもしれません…怖い怖い。
あと生ごみは捨てて出て行った方がいいです…猫の排泄物もね…。何が起きたかは想像にお任せしますよ。
最後に
実際に事が起きた際、動けるかどうかは運の要素が大きいでしょう。
筆者の場合はたまたまオフラインの動かせない仕事が無く、且つ体もジャカルタにあったので即座に出国することができました。何度も言いますが、運が良かっただけです。
しかし、こういうことって与えられた条件の中でベストを尽くせたか?の納得感も重要なのだと思います。
この記事が少しでも、立ち止まって考えてみるきっかけになれば幸いです。
あ!あとご兄弟がいる方は、普段から仲良くしておいた方が良いです。現場で頼ることも多いですし、亡くなった後にはさらに頼ることになりますので…。
いや本当に頭が上がらないです。