日記・雑談

執筆者: jakameshi

インドネシア人エリート達から見た日系企業への疑問5つ

2018/02/01

今回は雑談です。

いつもは日本人の視点で物事を書くことが多いのですが、たまには逆の視点で書いてみるのも面白いかなと思います。

突然ですが筆者のパートナー(恋人)はインドネシア人で、きちんとした大学で学び、キャリアも一貫性があるそこそこのエリートです。

留学したことこそありませんが、英語も堪能で筆者の英語力なんか彼女の足元にも及びません。

大学卒業後、ローカル企業や欧州系外資で働いた後、現在は筆者の影響もあってか日系企業に勤めてます(一貫して職場はジャカルタです)。

彼女自身は日本に対して素晴らしい国というイメージが強く、そんな素晴らしい国の企業で働く華々しいワークライフを期待しての転職。

「日本人との仕事、楽しみ!」と胸を躍らせていました。

ところが、転職した瞬間から毎晩のように不満と疑問の嵐。

「why Japanese company!?」

と、毎晩厚切りジェイソンが隣にいる感じでした。

しかしこれは筆者のパートナーに限ったことではありません。

日本人の彼氏というポジション上、他にも日系企業で働く彼女の友人たちとよく話すのですが、結構な不満と疑問をぶつけられます(彼、彼女たちも筆者とは何ら利害関係が無いので言いやすいのでしょう)。

今回はそんなインドネシアのそこそこエリート達(※)から聞いた、日系企業へ対する疑問点(≒不満)を5つに絞ってご紹介します。

※すべからく有名大卒業or海外留学組、英語は超堪能、世代は20代中盤~30代中盤あたりです。

1,000人とかに聞いた話ではないので個人差もあるでしょうし、業種差や企業文化の差もあるでしょう。すべてが当てはまることも無いとは思いますが参考としてご覧ください。

 

なぜあんなにメールをccに入れたがるのか?

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まずインドネシア人が日系企業に入って一番最初に驚くのがccで入ってくるメールの多さのようです。

また、メールの確認で一日一時間、二時間と時間を費やしていることが不思議でたまらないとのこと。

確かに日系企業は良くも悪くもメールでのコミュニケーションが多いですよね。

良い視点で言えば「共有意識が高い」、悪い視点で言えば「責任を分散させたい」といったところでしょう。

もともとインドネシア人はメールで仕事を進める文化が薄いように感じます。

彼らは個人と個人で仕事を進める意識が強いですし、オンラインでやりとりする場合もだいたいWhatsappやLineを使います。

重要ではないメールまでccで入ってくるのが非効率に感じてたまらないそうです。

中には日本語でのやりとりを癖でccに巻き込む上司もいるそうで…(スタッフは日本語を読めない)。

もし心当たる方は見直してみるのも良いかもしれません。

つまらない話ですが、筆者も20代中盤に日本で働いていたころメールの流通量が一日200件以上になり、経営課題としてマネジメントチームで揉んだことがありました。

「1件確認・処理するのに30秒かけたとして100分、、、1時間半以上食ってる!無駄です!」と。

幹部陣で努力してcc削減運動をし、メールが100件以下になりましたが生産性は変わりませんでした。

また、これも個人的な意見ですが元々メール文化が希薄なインドネシア人メンバーに「cc見といてね」と言ってもあまり順守しないんじゃないかな、という気もします。

必要であればまとめてToでガツンと送っておく、など工夫の余地はあるかもしれません。

 

なぜ専門スタッフに雑務までやらせようとするのか?

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インドネシア人は仕事に対して階級的な考え方を持っています。家にはハウスキーパーがいたり、路上にはゴミを拾う人がいたり、オフィスにはオフィスボーイがほぼ必ずいます。

逆に現代の日本は国民皆中流的な価値観が刷り込まれており、「みんなでやる」「新人や部下が雑務をやる」ような考え方があります。

これがまたぶつかるようです。

「なぜ私たちが上司の秘書みたいなことまでやらないといけないのか?」

「なぜ私たちが新しく来た日本人の生活面までケアしなければならないのか?」

「これはアドミンの仕事では…?」

という不満が多いです。

インドネシアと日本の違いというよりは外資系企業と日本の違いかもしれません。

これも筆者の個人談で恐縮ですが、日系企業から外資系企業(米国系)へ転職した際に環境の違いに驚きました。

転職先の外資系企業ではガッチリ幹部には秘書が付き、オフィスにはadminチームが組織されており、前職まで自分でやっていた細かいスケジュール調整から出張先のホテルや移動手段確保などなどをやってくれたのです。

その分、専門職として入っている社員たちの成果に対する責任は刺激的な重さでした。

どちらのやり方が良いのかは規模や業種によっても異なるのでしょうが、インドネシア人エリートの価値観は米国型外資系のように、専門職は専門的職務にフォーカスして成果を出す、という考え方が強いです。

最初の入社時点で業務範囲に記載しておくと後々の不満蓄積を多少防げるかもしれませんね。

 

なぜ日本語を話せるだけの人間を重宝するのか?

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これは耳が痛い。筆者も過去に思い当たるフシがあるからです。

以前もブログのどこかで書きましたが、日本人は相手が日本語を話すだけで「こいつはわかってくれてるかも」と油断してしまう癖があります。もう、これは島国根性で根付いたもので無意識レベルで起きているのだと思います。

また、同じく「日本の文化が好き」とか「ホウレンソウ大事です!」とか言ってくる外国人に対しても態度が軟化します。

そもそも共通点があると人間は親近感を持ってしまうのですが、その効果が過度に働きます。

ところがこれが落とし穴になることが多い。

外国人が第三言語となる日本語を習得するにはかなりの努力が必要で、ものすごい時間を投じているはずです。それはそれで素晴らしく、尊敬すべきことです。しかし専門スキル向上に充てる時間はなかった場合が多いでしょう。

日本できちんと就業経験を積んだ方ならば別ですが、勉強だけで日本語を習得した外国人はビジネススキルが低いことが多い。

また、語学の勉強ができるからといって仕事で使える地頭があるとも限らない。勉強ができることと仕事ができることはまったくの別物です。

処遇の差が大きいのもインドネシア人からの不満要素です。

例えば日本で英語人材を雇用する場合、英語スキルによる上乗せ給与(※)は10-20%前後と聞いたことがあります。

※手当などではなく、平均的な市場価値よりも高い給与をもらえる傾向があるという意味です。

インドネシアで日本語人材の場合、日本語を話せない同じスペックの人と比べて給与が30-40%違うこともあります。

例えば実際の就業経験がほとんどないですが、日本でインターン後に帰国した子のケース。通常だと新人は4ジュタから始まるのですが7.5ジュタの給与を付けた日系企業もありました(※)。

※あくまで筆者が自分で見たり、インドネシア人の友人から聞いた周囲の話です。

日本語を話せる人材は非常に役立つ場面も多いのですが、「日本語も仕事も両方できる人はレアケース」「仕事のパフォーマンスは適切に評価しないと内部に不満が蓄積する」という2点は念頭に置いておくべきかと思います。

日本語スピーカーはプロフィット部門とは別ラインで明確に線引きして雇用する、など工夫の余地はありそうです。

耳が痛い…。

 

なぜ日本人以外の発言や意見を聞かないのか?

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「なぜ私たちローカルスタッフの意見を取り入れてくれないのか?」というのは最も多く聞く不満の一つです。

全社一丸を打ち出し、スタッフとのコミュニケーションを重視していそうな会社の社員ですらこの不満をぶつけてきたのは驚きでした(※)。

※筆者も日本人側をよく知る立場で、外から見るとうまく連携しているように見えていたので驚いたのです。

彼女(仮にAさん)の意見を代弁すると、「一見打ち合わせで意見を聞くようなスタンスを見せるが、その後は日本人だけで話し合い、最終的には日本人が最初に言っていた意見に収まる」とのこと。

また、これよりも多い意見として「日本流のやり方をすべて踏襲しなければならず、インドネシア流の進め方を取り入れてもらえない」というのもあります。

この不満は進出後5年以内の若い会社で強いように感じます。

この話、外資系の場合全く異なることが起きてたりします。

例えばとある欧州系サービスファームだと、ヘッドはインドネシア人でサブリーダーがフィリピン人とインド人、チーム内のルールはインドネシアルールに則る、という方針の会社もありました。

その会社はフランスの会社ですが、「ヨーロッパでは」や「フランスでは」という言葉は一切聞いたことがありません(オフィスに遊びに行くくらい個人的に仲が良い会社です)。

「任せて失敗した」という日本側の意見も多々聞いているのでこれはどちらが正しいとも言えませんが、筆者自身の失敗談から日本流の経験則だけを押し付けると必ず限界が来るということは断言します。

インドネシア流を理解して取り入れつつ、業務指示はビシッと上意下達でやるのが理想でしょうが、このバランス感覚はいまだ掴めません。

現地で独自で長くビジネスをされている日本人の方から教えをいただくこともあるのですが、「感覚」というのは失敗を経験しながらじゃなければ身につかないものだなあ、としみじみ感じます(このくだりは蛇足です)。

 

なぜマネジメント経験もスキルもない人間がマネージャーに就任するのか?

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「いやいやそれはKITASの問題である程度の役職を就けないともらえないのよ」、と話しても、それは日本側の問題で実際に働くインドネシア人にとってはたまったもんじゃないようです。

名刺の肩書だけではなく実際のマネジメントシステムの問題だったりもします。

この問題が結構根深いもので、インドネシア人側に立って代弁すると日系企業はマネジメントスキルが低く必ず日本人が上に立つのでキャリアプランが立てにくい、ということです。

  • 日本から来たマネージャーとディレクターが完全にプレイヤーで適切な評価体制が無い(キャリアプラン問題とマネジメントスキル問題)
  • 新しいマネージャーが若すぎて現場判断できない(マネジメントスキル問題)
  • 自分が育てたチームを日本から来た若いマネージャーにとられた(キャリアプラン問題)
  • 会社でのキャリアプランを聞いても上司が答えられなかった(キャリアプラン問題)

などの意見がありました。

このキャリアプラン問題については、

  • インドネシアの会社にも内部でのキャリアアップなんてほとんどないだろ

という突っ込みはありますが、ローカル企業であれば自分が幹部になる可能性もありますし、上述の通り他国から来た外資系でも現地スタッフ(現地どころか他の国の人まで)がパートナクラスに上り詰めるケースもあります。

マネジメントスキル問題についても、

  • インドネシア国内でもよくあることだし、世界中でもどこでもあるよね

という話ですが、KITASが絡むためインドネシアの日系企業では特に根が深い問題なのかもしれません。

このマネージャー問題については一考する価値があるテーマだと思っています。

既出のAさんの話もこのテーマと紐づいており、彼女は貢献意識も高くてやる気もあったのですがキャリアップ目指して転職活動を決めました。

色々と話してみましたが「この会社では日本人にならない限り大きなキャリアアップができない(スキルも給与も)」と彼女自身が判断しました。

日本本社との密な連携を維持するためには日本人を上に置く必要がありますが、現地スタッフのキャリアなども考えていかないと長期的な事業継続ができない。

ただ、事業の継続性も展開も見えない中でスタッフのキャリアプランなんて考えることができない面もあります(特に最初の数年)。

ほんと海外進出(の現地責任者)って大変です。

 

最後に

他にも「WHY?WHY?」と詰められたことはありますが、中でも個人的に印象的だったテーマをピックアップしました。

もちろんすべてが画一的に当てはまるものではないでしょうが、こういう意見を持つ人たちもいる、程度で参考になれば幸いです。

彼・彼女らと話していて感じるのですが、インドネシア人従業員に対してきちっと向き合う機会が設けられてないのかもなぁとも感じました。

日本人同士の場合は「社員満足度(Employee Satisfaction)」など気にしていましたが、ジャカルタではあまり聞かないなぁとか。

我々日本人からするとインドネシア人は会社への忠誠心も低く、就業期間も往々にして短いもの、という先入観があることもその原因なのでしょう。そこまで労力もコストもかけたくないと思われる方もいるはずです。

ただ、数は少ないですがインドネシア人でも会社に愛着を持つ人もいますし、きちんと向き合うことで長期間同じ会社で真面目に働く人もいます(この辺、現地で独自ビジネスしている方は上手いです)。

今回登場したAさんは少なくともその可能性があったのですが……実にもったいない。

各社状況は違うと思いますが、この記事が何かしら考えるきっかけにでもなれば幸いです。

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